研究課題/領域番号 |
22K10053
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
真柄 仁 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (90452060)
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研究分担者 |
井上 誠 新潟大学, 医歯学系, 教授 (00303131)
島田 明子 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 准教授 (00452871)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 口腔運動 / 嚥下運動 / 口腔機能低下症 |
研究実績の概要 |
本研究では,摂食嚥下リハビリテーションとして頻用される舌挙上運動の嚥下改善メカニズムにおける神経可塑性変化,および運動感覚障害からの回復プロセスへの促進機序の解明を目的としている.初年度は,持続的な舌挙上運動時の舌筋と舌骨上筋の筋活動挙動について検討した. 健常成人20名(男性10名,平均年齢28.8±5.3歳)を対象とした.はじめにバルーン型舌圧測定器を用いて最大舌圧値を3回測定し,その平均値を個人の最大値(100%)と定義し,更に最大値の25%,50%,75%の舌圧を決定した.次に,25%,50%,75%,100%舌圧での10秒間の舌圧発揮をランダムな順で実施した.記録の対象は舌圧,舌筋,舌骨上筋,舌骨下筋および咬筋とし,舌筋の筋電図記録には吸引型表面電極を,その他の筋では表面電極を用いた.記録中は舌圧強度確認のため視覚的フィードバックを行い,各試行の間には少なくとも1分間の休憩時間を設定した.筋電位全波整流波形の積分値である筋活動量および平均周波数を各タスクで比較し,更に経時的変化の評価のため,10秒間のタスクを最初の1秒を除いたEarly(1-4秒),Middle(4-7秒),Late(7-10秒)に分割した. 結果,10秒間全体の比較では,各筋における活動量は舌圧強度の増加に伴って増加していた.舌筋活動量に経時的変化は認められなかったが,平均周波数は全てのタスクで減少していた.一方,舌骨上筋と舌骨下筋の筋活動量は,舌圧強度の増加に伴って増加していた. 舌圧強度の増加に伴い,舌筋だけでなく舌骨筋群もその活動量を増加させていた.10秒間の舌圧発揮時には,舌筋は急速に疲労するが,舌圧維持のために舌骨筋群が代償的に筋活動量を増加させていることが考えられ,結果は英文誌にまとめ投稿,査読中である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
舌の筋電図記録について吸引型の電極を利用することで安定して舌挙上運動時の記録ができた.結果,予備的な実験内容であったが,データをまとめ英文誌に投稿することができた.更に,予定どおり繰返しの舌挙上運動時の運動誘発電位の変化について計測を開始できている点を考慮し,進捗状況の区分を判断した.
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今後の研究の推進方策 |
等尺性収縮運動前後の舌の運動誘発電位について,20名を目標に継続してデータを採取する.更に,体性感覚の変化の条件ありなしで舌の運動誘発電位の変調の有無を検討する.
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次年度使用額が生じた理由 |
吸引型の電極の納品が一部年度をまたいだ関係で,次年度へ繰越となった.当該年度で計画的に使用される予定である.
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