研究課題/領域番号 |
22K10055
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
前田 芳信 大阪大学, 大学院歯学研究科, 招へい教員 (10144510)
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研究分担者 |
池邉 一典 大阪大学, 大学院歯学研究科, 教授 (70273696)
高橋 利士 大阪大学, 歯学部附属病院, 講師 (70610864)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 高齢者 |
研究実績の概要 |
2023年3月末までに感染対策を十分に行ったうえで,4地域の在住高齢者336名(伊丹地区110名,朝来地区80名,板橋地区97名,奥多摩地区49名)に対して対面調査をおこなった. 研究の初年度である本年度は,身体的・社会的背景などの交絡因子を考慮した上で,最大咬合力と高齢者の心理的フレイルとの関連について横断的に検討することを目的として,統計的解析を行った. 70代と80代の自立した地域在住高齢者1810名(男性:863名,女性:947名)を対象に,身体的・社会的・心理的因子ならびに口腔因子を調査した.心理的フレイルと最大咬合力との検討に先立ち,交絡因子を統計学的に除外することを目的に,傾向スコアマッチング法を用いた.傾向スコアは,心理的フレイルの有無を従属変数とし,心理的フレイルに影響していると考えられる交絡因子を独立変数とするロジスティック回帰によって算出した. 心理的フレイルと判定された対象者は,180名(9.9%)であった.傾向スコアマッチング法により,心理的フレイルあり群176名(男性83名,女性93名),心理的フレイルなし群176名(男性79名,女性97名)の合計352名が,最終的な分析対象となった.最大咬合力の中央値は,心理的フレイルあり群で265.9N,心理的フレイルなし群で315.3Nであり,2群の間に有意な差を認めた. 本研究より,交絡因子を調整したうえでも,最大咬合力と心理的フレイルとの間に負の相関があることが明らかとなった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り,研究が遂行できているため.
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は,今年度に引き続き地域在住高齢者の調査を継続して行うとともに,2022年度に取得したデータならびにそれまでに行った調査のデータ整理・分析を行うとともに,心理的フレイルに関する解析(縦断研究や他の因子との関連等)を進めていく予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
一回の調査に参加する高齢者や調査回数が当初の予定よりも少なくなり,調査に参加するスタッフに対する謝金や,調査のために必要な物品の支払いが少なくなったためと思われる.差額については来年度に繰り越して,調査のための物品の購入に使用する予定である.
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