研究課題/領域番号 |
22K10063
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研究機関 | 東京歯科大学 |
研究代表者 |
服部 雅之 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (10307390)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 付加製造 / 歯科用金属 / 金属加工 |
研究実績の概要 |
三次元積層造形技術は、三次元データから複雑な形状物を自動的に直接製造する付加製造技術である。従来の鋳造技術に代わる金属材料の新たな製造技術として、金属粉末による付加製造が産業界で急速に普及拡大している。医療分野においても、患者の骨格構造に最適なカスタムメイド人工関節など整形外科分野に応用されつつある。歯科分野でも国産のコバルトクロム合金粉末が薬事承認されるなど臨床応用への環境整備が整いつつある。一方で、付加造形装置の条件設定のみならず、適用可能な金属粉末材料の種類、形状形成、造形物の物性や精度など克服すべき課題も多く、これらの課題を抽出し適応症例に最適な「造形装置-金属(合金)選択-製作条件」を明確にすることが本研究の骨子である。本課題では、金属粉末積層造形技術による補綴装置製作におけるプロトコールを確立し、新たな歯科医療技術に適合した金属材料による加工技術を構築することを目的としている。三次元積層造形用コバルトクロム合金粉末と比較試験片として鋳造加工したコバルトクロム合金と金銀パラジウム合金を使用した。三次元積層造形試験片の製作における造形条件は、走査速度(300mm/s)、レーザー出力(150W)、ハッチ間隔(0.15mm)に設定し、造形方向は積層方向に対して平行(0°と90°)とした。歯科用金属材料の試験法(JIS T6004:2019)に準拠した定形試験片を製作し、引張強さと弾性率を評価した。 三次元積層造形用と鋳造加工用のコバルトクロム合金において多少の成分比率は異なるものの、積層造形で加工したコバルトクロム合金が鋳造法で製作した試験片よりも引張強さ、弾性率の何れも高い値を示した。また積層造形において0°と90°において弾性率の差異は認めなかったが、引張強さにおいては90°が0°よりも高い値を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
比較対照となる鋳造加工試験片の製作において、鋳造欠陥の発生頻度が多く、時間を要していることから「やや遅れている」とした。
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今後の研究の推進方策 |
造形方向の差異(0°と90°)がフルクラウンや全部床義歯の適合精度に及ぼす影響について検討を行う予定である。これらの結果から、クラウンや全部床義歯の製作に最適な造形方向の探索を行うとともに、造形する方向の違いが造形精度に及ぼす影響について明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究打合せによる旅費を計上していたが、オンラインでの打合せに変更したこと、また成果発表や情報収集を目的とした学会参加が学務行事と重なったことから執行できなかった。 次年度にも同様の旅費を計上しているが、使用計画通りの予算執行ができると考える。
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