研究課題/領域番号 |
22K10067
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研究機関 | 大阪歯科大学 |
研究代表者 |
柏木 宏介 大阪歯科大学, 歯学部, 教授 (00301648)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 信頼性 / 測定誤差 / 精確さ / 解釈可能性 / 測定条件 |
研究実績の概要 |
健常有歯顎者の男女11名を被検者としてCADソフトウエア(Zirkonzahn.CAD/CAMシステム、Zirkonzahn)を用いた顔面標点間距離測定について、一般化可能性理論を用いた信頼性と解釈可能性について検討した。測定日2日、測定回数3回の信頼度係数は測定したすべての標点間について0.9を超え、SEMは0.25から0.83mm、MDC95は0.69から2.31mmを示したことから、信頼性の高い測定条件であることが示された。 マネキンヘッドを用いて、歯科用フェイススキャンシステムのマッチングの精確さを検討したところ、顔貌3Dデータと歯列3Dデータ統合モデルの精確さ(真度±精度)は0.39mm±0.12mmを示し、臨床応用の基準を満たす結果が得られた。 健常有歯顎者の男女14名を被検者として、歯科用フェイススキャンシステムで採得したNHPの再現性について検討したところ、反復測定分散分析の結果、3回の測定間に有意な差を示さず、ICC(3,1)とSEMはそれぞれ、Roll角では0.923(95%CI:0.825-0.972)と0.98度、Pitch角では0.940(95%CI:0.862-0.979)と0.94度、Yaw角では0.845(95%CI:0.669-0.942)と0.91度であった。3回の測定におけるRoll角、Pitch角およびYaw角について、系統誤差が無いこと、相対的ランダム誤差が小さく、顔面軟組織を用いた審美分析を行う上での絶対的ランダム誤差が小さいことが示された。 以上の研究結果から、補綴治療時の口唇周囲軟組織形状変化3Dシミュレーションシステムの確立を目指す上で、測定に用いるシステムの信頼性(測定誤差)と誤差を減少させるために必要な測定条件が明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初令和4年度で予定していた、顔貌3Dデータと歯列3Dデータ統合モデルの信頼性(測定誤差)の検討はおおむね予定通り遂行することができた。測定方法の確立、測定誤差の定量化および測定条件を決定することができた。
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今後の研究の推進方策 |
健常有歯顎者を被験者として、上顎前歯部の厚さ5mmのシーネを装着する前後で顔貌データと歯列データを採得する。前年度に決定した測定条件で測定を行う。個々の被検者の異なる時期から得られた計測点座標データを対象とする。目的変数を口唇周囲軟組織の座標点とする。説明変数を口腔内組織(歯冠部や支台歯)の座標点とする。すべての測定部位のデータを正規化する。階層型ニューラルネットワーク解析を行う。ネットワークモデルの推定に際しては、3層のモデルを利用する。学習終了後のネットワークモデルの目的変数の推定精度と、説明変数の相対重要度を比較検討し、説明変数の取捨選択を行う。最終的には、モデル構築のデータに使用していない被験者データを用いて交差妥当性の検証を経て、アルゴリズムの決定を行う。ニューラルネットワーク解析で得られた口唇周囲軟組織のシミュレーションアルゴリズムを3Dモーショングラフィックソフトウエアへ実装し、顔貌データを製作する。
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次年度使用額が生じた理由 |
信頼性および測定条件の決定に要する経費が見積より少なかったため。次年度はシミュレーションアルゴリズムの構築に経費が必要となることから、未使用経費は次年度で使用する予定。
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