研究課題/領域番号 |
22K10085
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
鈴木 浩司 日本大学, 松戸歯学部, 准教授 (80349977)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 閉塞性睡眠時無呼吸症 / 鼻閉 / 習慣性口呼吸 / 鼻呼吸訓練 / 鼻腔通気流量 / Yoga |
研究実績の概要 |
閉塞性睡眠時無呼吸症 (Obstructive Sleep Apnea: OSA) 患者に対する、口腔内装置(Oral Appliance: OA)治療の問題点はいくつかあり、その一つに鼻閉がある。睡眠検査の結果、CPAP適応でなければ、automaticにOA製作を依頼してくるため、OSA患者が鼻閉を伴うかどうかは、初診時に判定しないといけない。しかしながら、睡眠歯科外来では問診にて判断する程度で、実際にOAを治療開始後に鼻閉によって使えないという結果が得られることが多い。問診時 に、鼻閉状態を客観的に判定できていれば、事前に鼻閉治療を行うことができ、このような発生を最小限にすることができる。しかしながら、これまでOA治療対象者における鼻閉の状態を調べた報告はなく、これを検討すれば、OA治療の一助になると考えられる。そこで睡眠歯科外来に来院した患者の睡眠呼吸状態に加え、鼻腔通気に関する主観的および客観的評価を実施し、その関係について検討した。結果、OSA患者 の吸気流量は健常者に比べて有意に低かった。鼻閉により口呼吸が誘発されることはすでに報告されており、OSA患者に多い口呼吸により、鼻腔気道抵抗が増加しているため、吸気流量が低かったのではないかと考えられる。また、OSA患者、健常者ともに女性の吸気流量は有意に低く、性差が認められた。男性の方が女性よりも鼻腔の大きさが大きいことが考えられた。OSA患者の吸気流量とSpO2 minにおいて、弱い負の相関が認められた。これは、口 呼吸により鼻腔気道抵抗が増加しているため、肺まで十分な酸素が送り届けられていないと考えられる。女性のOSA患者において、RDIとMallampati分類で弱い正の相関が認められた 。歯科における吸気流量の測定はスクリーニング検査として有用と考えられた。今後データ解析と論文投稿を進めていきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
論文を投稿するのに必要なデータが順調に収取でき、解析も順調に進んでいる。また、これまでの口腔内装置に変わる新しい材料を開発し、論文化することができた。これが本研究がおおむね順調に進んでいる大きな要因である。今後予期していないことが起こる可能性は否めないが、積極的に情報取集を続け、研究を遂行して論文投稿したいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
概ねデータ収集が終わったため、解析を進めていく。母集団が増えたため、解析方法を誤らないようにしたい。特に睡眠呼吸状態の情報と患者基本データと鼻腔通気検査項目、口腔機能項目の分析結果からOSAと関係の深い歯科的関連項目を見つけるとともに,口呼吸や低位舌に着目しOSAの重症度に関係があるか解析する予定である。 また、鼻閉改善に有用な鼻呼吸訓練や新規装置のデータを取得していきたい。
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