研究課題/領域番号 |
22K10090
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研究機関 | 福岡医療短期大学 |
研究代表者 |
後藤 加寿子 福岡医療短期大学, 歯科衛生学科, 教授 (60389418)
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研究分担者 |
都築 尊 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 教授 (70330967)
堤 貴司 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 講師 (70736652)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 咬合不調和 / 認知能 / 軽度認知障害 / IL-1β |
研究実績の概要 |
【目的】最近、歯周疾患や歯の喪失によるアルツハイマー型認知症(AD)の発症や増悪に関して新しい知見が報告されてきている。咬合不調和は、歯周組織での液性因子の発現、ストレスホルモン分泌や交感神経活動亢進により全身的な異常がおこることが既に報告されている。我々は、咬合不調和の1つである過剰咬合負荷は認知能を一過性低下させ、同時に海馬でのアミロイドβやリン酸化タウを蓄積させる興味深い結果を得た。しかし、この機序が咬合性不調和による歯周組織変性と認知能低下との関連分子や機序に関して未だ不明である。本研究は、AD発症モデルマウスを用いて、軽度認知障害(MCI)時の咬合不調和とADの発症との相関を明確にすることを目的とした。 【方法】MCI時に相当する4ヶ月齢と既にAD発症したとされる6ヶ月齢のADマウス及びそのコントロールマウスを使用し、無処置(コントロール)群, 過剰咬合を負荷後1週間群, 及び4週間群に分け, 認知能を行動科学的実験にて認知能を評価した. 同時に, 血清中における炎症性サイトカインIL-1β発現をELISA法とWestern blottingを用いて調べた. 【結果】過剰咬合負荷は4ヶ月齢ADマウスの認知能を一過性に低下させたが、コントロールマウスでは有意な認知能低下は認められなかった。また、血清中のIL-1β濃度変化は過剰咬合により4ヶ月齢ADとそのコントロールマウス共に持続的増加した。一方、6ヶ月齢ADマウスとそのコントロールマウスでは、共に過剰咬合による認知能に有意な影響は認められなかった。さらに、血清中のIL-1β濃度変化は過剰咬合により6ヶ月齢ADマウスとそのコントロール共に変化はなかった。 以上より、咬合不調和は歯周組織由来のIL-β発現の増加が部分的にAD発症誘発に関与する可能性があると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画のアルツハイマーモデルマウスを使用して、行動学的実験はほぼ結果が明らかになっており、また血清を用いたELISA法の結果を継続して実験中である。さらに、学会発表も行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、免疫染色法を駆使して、経時的変化を明らかにする。さらに、論文の作成を開始する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
論文作成にかかる費用を予定していたが、現在追加実験を行っており、その後に予算を執行する予定である。
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