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2023 年度 実施状況報告書

時空間的トランスクリプトーム解析を応用した歯肉角化制御メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 22K10100
研究機関岡山大学

研究代表者

縄稚 久美子  岡山大学, 大学病院, 助教 (10379787)

研究分担者 納所 秋二  岡山大学, 大学病院, 医員 (40884797)
大野 充昭  岡山大学, 医歯薬学域, 准教授 (60613156)
窪木 拓男  岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (00225195)
大野 彩 (木村彩)  岡山大学, 大学病院, 講師 (20584626)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード歯肉角化 / トランスクリプトーム解析
研究実績の概要

天然歯および口腔インプラント義歯の良好な予後を維持するために角化歯肉の幅の増大が必要なことがわかっているが歯肉の角化誘導に関する制御メカニズムは未だ不明な点が多い.我々は今までの研究成果から,歯肉の基底膜近傍に存在する間葉系細胞が,歯肉の角化と深く関与していることを明らかにしてきた.そこで,本研究では,角化歯肉の基底膜近傍の間葉細胞を特徴付ける遺伝子群をbulk RNA-sequencing (RNA-seq)にて抽出するとともに,結合組織移植により,非角化歯肉の間葉細胞がどのように変化し,上皮角化を誘導するか,時空間情報を加味した遺伝発現解析法などを駆使して明らかにする.そして,これらの結果をもとに歯肉角化に関わる基底膜分子の発現を制御可能な間葉細胞が分泌するシグナル分子を同定し,付着・角化歯肉を生物学的に誘導する治療法に繋げる事を目的としている.
2024年度は,ヒトの歯槽粘膜 (角化歯肉)及び頬粘膜 (非角化歯肉)に対するsingle cell RNA-seq解析データが既に公開されていたため,それらのデータをダウンロードして再解析した. その結果,角化歯肉由来間葉組織は,非角化歯肉由来間葉組織と比較し,1型コラーゲンや3型コラーゲンなど結合組織が豊富の組織であることが,遺伝子発現解析から明らかとなった.また,角化歯肉と非角化歯肉のそれぞれの上皮細胞と間葉細胞を用いてLigand-Receptor assayを行った.その結果,上皮細胞がligand,間葉細胞がreceptorの組み合わせはほとんど存在せず,間葉細胞がligand,上皮細胞がreceptorに組み合わせが多数検出された.つまり,口腔粘膜組織において,間葉細胞が上皮細胞を制御していることが明らかとなった.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

今回,犬を用いて実験を行う予定であったが,ビーグル犬の遺伝子情報に関していまだゲノムが解読されていない部分があることがわかり,詳細な解析が難しい可能性が有ることが判明した.そこで,既にいくつかヒトの口腔粘膜のサンプルを用いた解析データが論文で発表されており,そのデータの再解析に実験を切り替えたため,少し研究が遅れ気味である.

今後の研究の推進方策

2024年度は,2023年度の解析の続きを行う.具体的には,上皮細胞・間葉細胞3次元共培養実験を用いて,角化歯肉の間葉細胞に特異的に発現していた遺伝子の機能解析を行い,抽出された遺伝子が歯肉の角化にどのような影響を与えているか明らかにする.また,近年,Spatial RNA-seqのヒト歯肉のデータも既に論文にて公開されており,これらのデータの再解析を行い,scRNA-seqのデータと照らし会わあせて,関連遺伝子のスクリーニングを行う予定である.

次年度使用額が生じた理由

イヌのゲノム情報は遺伝子名が決定しておらず不明な部分が多く,イヌからサンプリングした組織を用いて解析することが困難であることが判明した.そこで,既に論文で公開されているヒトのデータを再解析することとしたため,イヌの購入費や試薬代が必要となくなったため,次年度使用額が生じた.これらの研究費は.2024年度以降,マウスのトランスクリプトーム解析に用いる予定である.

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (3件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Prosthodontic treatment can improve the ingestible food profile in Japanese adult outpatients2023

    • 著者名/発表者名
      Kimura-Ono Aya、Maekawa Kenji、Kuboki Takuo et al.
    • 雑誌名

      Journal of Prosthodontic Research

      巻: 67 ページ: 189~195

    • DOI

      10.2186/jpr.JPR_D_22_00017

  • [雑誌論文] Accuracy of a novel modified single computed tomography scanning method for assisting dental implant placement: a retrospective observational study2023

    • 著者名/発表者名
      Shimizu Hiroaki、Mino Takuya、Kurosaki Yoko、Arakawa Hikaru、Tokumoto Kana、Kimura-Ono Aya、Maekawa Kenji、Kuboki Takuo
    • 雑誌名

      International Journal of Implant Dentistry

      巻: 9 ページ: 1~14

    • DOI

      10.1186/s40729-023-00509-8

  • [雑誌論文] Tooth morphology fusion technique is more accurate than conventional technique in transferring morphology of provisional to definitive screw-retained, implant-supported crown: A preliminary intervention study2023

    • 著者名/発表者名
      Mino Takuya、Kurosaki Yoko、Tokumoto Kana、Izumi Koji、Mitsumune Hiroshi、Maekawa Kenji、Ueda Akihiro、Nakano Tomohito、Sejima Junichi、Kimura-Ono Aya、Kuboki Takuo
    • 雑誌名

      Journal of Prosthodontic Research

      巻: 68 ページ: 139~146

    • DOI

      10.2186/jpr.JPR_D_22_00244

  • [学会発表] インプラント周囲炎の治療に向けたrhBMP-2を応用したインプラント体表面改質材の開発2023

    • 著者名/発表者名
      田仲由希恵、大野充昭、 大野 彩、大橋俊孝、窪木拓男
    • 学会等名
      第53回公益社団法人 日本口腔インプラント学会学術大会(第43回東北・北海道支部学術大会併催)
  • [学会発表] Benefit of shape-maintaining and softened meals provided after implant surgery2023

    • 著者名/発表者名
      K. Nawachi , Y. Kurosaki , A. Kimura Ono , T. Mino , T. Kuboki
    • 学会等名
      2024 IADR/AADOCR/CADR General Session

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公開日: 2024-12-25  

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