研究課題/領域番号 |
22K10111
|
研究機関 | 福岡歯科大学 |
研究代表者 |
川口 智弘 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 准教授 (50631701)
|
研究分担者 |
浜中 一平 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 講師 (40736691)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | セルロースナノファイバー / 3Dプリンター / 義歯材料 / 補綴 |
研究実績の概要 |
本研究では、疎水性セルロースナノファイバーを3Dプリンティング用アクリル樹脂の補強用繊維として配合することで、3Dプリンティング義歯材料の機械的強度不足を解消し、優れた機械的強度と環境に優しいSDGsな特徴を兼ね備えた3Dプリンティング義歯材料を開発する。さらにその新規材料から高強度義歯床および高強度人工歯を開発することを目指す。 令和5年度の研究では、CNF配合マスターバッチ(セルロースナノファイバー配合量23%)を用いてDLP方式用アクリル系光硬化性樹脂(Dima Print Denture Base, shade: original pink, Kulzer GmbH, Hanau, Germany)に配合を試みた。直接CNF配合マスターバッチを配合すると、溶解しなかったため、MMAにペレットを溶解し液体状にして造形用インクに配合した。少量のCNF配合MMAをアクリル系光硬化性樹脂に配合し、3Dプリンタ(カーラ プリント 4.0プロ、松風)で3点曲げ試験用試料を製作することが出来たが、セルロースナノファイバーが凝集し試料中に分散させることが出来なかった。 また2次重合後の3D printed denture床用材料に対して接着性に関する検討を行った。アルミナブラスト処理とトライボケミカル処理は、紫外線硬化性樹脂の接着耐久性を有し、表面処理として有効であることが判明した。3D printed denture用人工歯材料への常温重合レジンの接着耐久性を向上させるためには、粒径110μm、噴射圧0.4MPaの条件でアルミナブラスト処理を行うことが効果的であることが示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
セルロースナノファイバーを紫外線硬化性樹脂に溶解させることが従来型のMMAモノマーよりも困難であることが判明し、セルロースナノファイバー配合PMMA樹脂 (Poly Methyl Methacrylate) とMMA((Methyl Methacrylate)を用いて紫外線硬化性樹脂に配合したが、試料中にセルロースナノファイバーの凝集を生じ試料中に分散さえることが出来なかった。そのためその他の溶媒を検討する必要が生じ、3点曲げ試験試料製作のためのセルロースナノファイバー溶媒の選定に時間を要したためである。
|
今後の研究の推進方策 |
紫外線硬化性樹脂中にセルロースナノファイバーを配合し、JDMAS252:2019やISO20795-1に基づき3Dプリンティング材料の機械的性質を測定する。セルロースナノファイバーの配合量を調整し機械的強度が向上する濃度まで測定する。紫外線硬化性樹脂用の溶媒に変更する。もしくはMMA中のセルロースナノファイバーに対し溶媒置換を紫外線硬化性樹脂を用いて行うことを検討する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
令和5年度にセルロースナノファイバーの3点曲げ試験用試料の製作が遅れ、機械的強度測定に必要な3Dプリンター用材料購入量やその他試料作製材料品が少なかったためである。令和6年度では、研究計画に則してセルロースナノファイバーやその他試料作製材料の購入費および研究結果の発表費用として使用する。
|