研究課題/領域番号 |
22K10117
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
増本 一真 浜松医科大学, 医学部, 教授 (50464136)
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研究分担者 |
北川 雅敏 浜松医科大学, 医学部, 教授 (50294971)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 口腔がん / X染色体 |
研究実績の概要 |
女性体細胞のX染色体は片側が不活性化(XaXi)しているが、未分化なES細胞や乳がん細胞等では両X染色体が活性化(XaXa)していることが知られている。申請者らは、両X染色体の活性化はX染色体性の相同組換え抑制遺伝子BRCC3の高発現をもたらし、相同組換え修復能が低下することを発見した。さらにヒト乳がんのin silico解析により、X染色体不活性化遺伝子Xistの発現低下およびBRCC3の発現亢進が予後不良と相関することを見出し、XaXaのがんが予後不良となることが示唆された (Tamura, Masumoto et al EMBO Rep. 2021)。本研究では、女性口腔がん患者サンプルを用いた実際の解析で、両X染色体活性化が予後不良と相関するかを検証する。そのためには、病理検体のがん組織におけるX染色体の活性化状態を判定することが必須であり、Xistおよびその他のX染色体性遺伝子の発現状態を可視化する必要がある。本年度はXistおよびX染色体遺伝子のRNA-FISHの系の確立を行い、Xistにおいてはその系が確立した。またX染色体性遺伝子においてはATRXなどを条件設定したが、検出感度の問題があり、XistのみでXaXaかXaXiかを判定することにした。また、数種の培養細胞についてXaXaかXaXiをRNA-FISHで調べ、WI38細胞がXaXi細胞であることを見出した。今後これらの細胞を用いてX染色体のStatusを人為的に変えて相同組換え能やがん細胞の悪性度等を解析していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
病理検体のがん組織におけるX染色体の活性化状態を判定するためには、Xistおよびその他のX染色体性遺伝子の発現状態をRNA-FISHで可視化する必要がある。Xistにおいてはその系が確立したが、その他のX染色体性遺伝子においてはその発現量が十分でないものが多く、多数の遺伝子について試行錯誤を繰り返したためやや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
両X染色体活性化がヒトがんにおいての相同組換え能の低下とそれに伴う悪性度亢進と相関するかを検証するためには、培養細胞や病理検体のがん組織におけるX染色体の活性化状態を判定することが必須となる。今年度Xistの発現状態をRNA-FISHで可視化する系を確立した。またX染色体の活性化状態をこの系を用いて乳がんなど数種の培養細胞について解析し、MCF7細胞がXaXaであることを見出した。本年度はさらに培養口腔がん細胞についてX染色体の活性化状態を判定する。今後X染色体の活性化状態が明らかになったXaXi細胞を用いてXistのノックダウンなどを行いX染色体のStatusを人為的にXaXaに変えて相同組換え能やがん細胞の悪性度等を解析していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
がん組織におけるX染色体の活性化状態を判定するためには、病理検体のXistおよびその他のX染色体性遺伝子の発現状態をRNA-FISHで可視化する必要がある。 本年度は適応となる女性口腔がん患者数が少なかったことに伴い病理検体数が予定数に達せず、主に実験経費による次年度使用額が生じた。本年度は既に患者数増加傾向が認められるため、当初予定数以上の実験経費に繰越金を使用する予定である。
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