研究課題/領域番号 |
22K10152
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
吉村 卓也 鹿児島大学, 医歯学域鹿児島大学病院, 助教 (30726758)
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研究分担者 |
谷本 昭英 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (10217151)
鈴木 甫 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 助教 (10623340)
中村 典史 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 教授 (60217875)
大澤 匡弘 帝京大学, 薬学部, 教授 (80369173)
笹平 智則 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 教授 (90405374)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 口腔癌 / 運動 / サルコペニア / myokine / adipokine / microRNA / 腫瘍免疫 |
研究実績の概要 |
本研究は口腔癌モデルマウスを用いて、運動やサルコペニアがmyokine/adipokineを介して宿主及びがん細胞に影響を与えることを検討することを目的とした研究です。 臨床研究としてこれまでに腰部や頸部の筋肉量や筋肉の質が口腔癌患者の予後予測に有用であることを報告してきたが、単一筋肉か横断面全体の筋肉か、腰部か頸部か、筋肉の量か質か、など最も良い予測因子がいずれの指標になるかははっきりしていなかった。今回、どのパラメーターが最も予後予測に有用であるかを比較検討し、一定の見解が得られたため、現在、国際誌に投稿中です。 ヒト舌癌細胞株を用いたマウスへの同所異種移植実験により、運動による舌癌細胞の生着抑制、がん増大の抑制、生存期間の延長が得られること、走行距離と腫瘍の大きさが逆相関することを発見しました。このメカニズムを明らかにするため、マウスの血液を検索した結果、複数のmyokine/adipokineが有意に変化していることを確認し、このうちoncostatin Mを口腔癌細胞株に添加することで細胞周期を停止させることで細胞増殖を抑制することを発見し、この成果をまとめて、国際誌Cancersに投稿・掲載されました。また他のmyokine/adipokineを添加することで癌の様々な性質に影響を及ぼすことも確認しています。 免疫チェックポイント阻害薬と運動療法の併用による効果増大に関しても検討したいと考えており、まずは運動やサルコペニアが免疫能やがん微小環境に及ぼす影響を検討するためにsyngenicマウスモデルや発癌モデルによる実験を計画中です。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
動物実験施設の改修工事は終了したが、施設利用にあたり他との兼ね合いもあり、予定していたsyngenic mouse modelを用いた実験が行えておらず、実験が遅れている。それに伴い、in vivoの結果を受けて開始する予定であったin vitroの実験も遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
動物実験施設の改修工事後の利用も再開しており、この期間に準備してきたサルコペニアモデルマウス及びsyngenic mouse modelを用いた実験を再開できる目処はついた。まずは運動、サルコペニアが免疫機能やがん微小環境に及ぼす影響に関して確認する予定である。また、血液や組織サンプルを用いて、この変化をもたらす因子を検索し、そのサイトカインを用いて細胞への添加実験等でその影響を確認する。
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次年度使用額が生じた理由 |
マウス実験が行えなかったことにより、in vivo、in vitro実験とも遅れたため、次年度使用が生じた。遅れた実験を2024年度に行う目処もたっており、当初の予定していた実験を行うために予算を使用する。
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