研究課題/領域番号 |
22K10157
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
角田 和之 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 准教授 (60265915)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 自己免疫疾患 / 自己免疫性水疱症 / 口腔粘膜疾患 / 自己抗体 / 病原性 |
研究実績の概要 |
天疱瘡は粘膜および皮膚に生じる自己免疫性水疱症で、その自己抗原は細胞接着因子であるデスモグレイン(Dsg)であることが知られている。尋常性天疱瘡(PV)では液性免疫の異常により産生された抗Dsg3抗体による水疱形成が病態形成の主体である。天疱瘡の一亜型である腫瘍随伴性天疱瘡(PNP)においてもPV同様に抗Dsg3抗体による水疱形成があるが、加えて扁平苔癬(LP)様の病変が見られる。LPは一般的に細胞性免疫が発症に関与する事が知られている。PNPにておいは、病態形成において液性免疫機序に加えて細胞性免疫機序も病態形成へ関与しているためと考えられる。PNPは致死率が非常に高く難治性で、口腔に症状が初発する事があるため、日常臨床においても常に注意を必要とする疾患である。そこで本研究ではPNPの口腔病変を詳細に解析し、PNPの診断と治療法開発に貢献することを目的としている。 昨年度はPNPモデルマウスとPVモデルマウス表現型の比較検討を行い、PVモデルマウスおよびPNPモデルマウスにおける表現型の特徴を比較検討した。本年度はPNP発症における液性免疫の側面における解析として、PNPモデルマウス中で産生される抗Dsg3自己抗体の詳細な病原性解析を試みた。PNPモデルマウス脾細胞とマウスミエローマをPEGにて細胞融合し、抗マウスDsg3モノローナル(mAb)抗体を複数単離し、新生仔マウスへの受動免疫によるmAbの病原性の検討、ハイブリドーマを免疫不全マウスであるRag2-/-に接種、腹水化による病原性の検討、組み換えDsg3蛋白を用いるmAbの認識するエピトープのマッピング等の試みが進行中である。 これらの所見は今後の研究にいて重要な所見になるものと考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
PNPモデルマウスとPVモデルマウスの作成ではマウスの供給や飼育、作製手順が煩雑で時間を要するため、マウスの供給が滞る事がある。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は引き続き、PNPモデルマウスとPVモデルマウス表現型の比較検討および抗マウスDsg3モノクローナル抗体作製を継続する。 更にヒトPNPの臨床データも集積中であり、今後はPNPモデルマウス表現型の比較検討解析を詳細に行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2023年度においては試薬予備、実験動物などの供給が潤沢であり使用額が生じなかった。2024年度は研究継続に際して引き続き物品の購入などが必要であり、成果発表の支出も計画している。
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