研究課題/領域番号 |
22K10170
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
高畠 清文 岡山大学, 医歯薬学域, 助教 (70736537)
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研究分担者 |
長塚 仁 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (70237535)
中野 敬介 岡山大学, 医歯薬学域, 准教授 (10325095)
辻極 秀次 岡山理科大学, 理学部, 教授 (70335628)
河合 穂高 岡山大学, 医歯薬学域, 研究准教授 (10803687)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 口腔扁平上皮癌 / 腫瘍間質 / 腫瘍実質間質相互作用 / 腫瘍微小環境 |
研究実績の概要 |
本申請課題の目的は、ヒト由来口腔扁平上皮癌腫瘍間質を用いた腫瘍微小環境再現により、腫瘍間質が腫瘍実質の生物学的性格(分化度、浸潤能、遊走能、増殖活性等)を変化させるメカニズムを解明し、浸潤癌を切除可能な外向性増殖する癌へと改変させることにより、切除可能な癌へと導く新規治療法の開発に向けた基礎的研究を行うことである。研究期間内では、腫瘍間質が実質の生物学的性格を変化させている因子について検討を行った。 浸潤性癌と外向性増殖を示す疣贅癌の手術材料から無菌的に提出した腫瘍間質においてマイクロアレを実施したところ、浸潤性癌から樹立した腫瘍間質では、外向性増殖を示す癌から樹立した腫瘍間質と比較してCCL2が高発現していた。 CCL2はマクロファージ集族に関連する因子であるため、口腔扁平上皮癌腫瘍微小環境における腫瘍間質がマクロファージに与える影響について検討を行った。口腔扁平上皮癌細胞株としてHSC-3、浸潤癌および外向性増殖を示す癌から樹立した腫瘍間質を用いて、in vitro実験系においてマクロファージの遊走能および分化能について検討した。その結果、マクロファージ前駆細胞として使用したRAW264.7細胞は、HSC-3+浸潤癌腫瘍間質では、遊走能亢進やM2型マクロファージへの分化が観察された。一方で、HSC-3+外向性癌腫瘍間質では、RAW264.7細胞の遊走能の抑制が観察された。In vivo実験系(マウス頭蓋部皮下移植モデル)においても、HSC-3+浸潤癌腫瘍間質移植群の方が、HSC-3+外向性癌腫瘍間質移植群と比較して、腫瘍微小環境内への浸潤するM2型マクロファージが有意に多かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本申請課題の根幹をなす腫瘍間質の性格を把握できたため、概ね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
口腔扁平上皮癌の様々な亜型から樹立した腫瘍間質においてマイクロアレイで発現遺伝子の確認ができた。今後は、エクソソームや細胞競合に関連した因子の発現を検討し、腫瘍間質が実質の性格を変化させている因子についてより詳細に検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2023年度は腫瘍間質が腫瘍実質の浸潤能、遊走能や増殖活性に与える影響をin vitroで検討したが、想定よりも順調に進んだため、予備実験用に計上していた細胞培養培地、シャーレ等の消耗品を削減でき次年度使用額が生じた。2024年度に行うin vivo実験系に使用する消耗品に、当初計画に上乗せする形で充てる予定である。
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