研究課題/領域番号 |
22K10172
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
青田 桂子 徳島大学, 病院, 准教授 (70437391)
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研究分担者 |
可児 耕一 徳島大学, 病院, 助教 (60709583)
小野 信二 徳島大学, 病院, 診療支援医師 (60770576)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | シェーグレン症候群 / JAK / 唾液腺 |
研究実績の概要 |
シェーグレン症候群(SS)は、遺伝的素因に内分泌要因、環境要因が加わり自己寛容が破綻した結果、さまざまな免疫細胞が活性化され病態が形成される。さらに病期によっても免疫細胞フェノタイプが変化するため病態の不均一性が高い自己免疫疾患である。SS唾液腺ではIFNなど複数のサイトカインがJAK-STATシグナルを介しケモカインを過剰産生させることが明らかになっている。本研究ではJAK阻害薬のSS治療における有効性を検討する目的で、SS患者唾液腺におけるJAKsの局在と発現量を解析した。さらに、ヒト唾液腺細胞株を用いてJAK阻害薬がIFN-γ誘導性CXCL10発現に及ぼす影響を解析した。 【材料および方法】SS患者10例(SS群)、Non-SS患者5例(Non-SS群)および健常者5例(Control群)より採取した口唇腺を用いて、JAK1、JAK2、p-JAK1、p-JAK2の発現レベルを免疫組織化学染色法にて検索した。発現レベルはHigh(score 2)、Low (score 1)、Negative (score 0)に分類し評価した。次に、ヒト唾液腺導管細胞株を用いてJAK阻害薬(トファシチニブ、バリシチニブ)がIFN-γ誘導性CXCL10発現に及ぼす影響をRT-qPCRとELASAで解析した。 【結果】SS群ではControl群と比較し導管ではp-JAK1およびp-JAK2の発現レベルが有意に高く、腺房ではJAK1、JAK2、p-JAK1の発現レベルが有意に低かった。リンパ球浸潤の程度をFocus score(FS) 0, 1, <2群に分類し、JAKs発現レベルの関係を評価したところ、腺房においてp-JAK2の発現レベルはFS1群で有意に高かった。トファシチニブ、バリシチニブともにIFN-γ誘導性CXCL10mRNA発現ならびに蛋白質産生を濃度依存的に有意に抑制した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
SS患者口唇腺を用いて免疫組織化学染色を行った結果、JAK1、JAK2、リン酸化JAK1、リン酸化JAK2の発現を腺房細胞、導管細胞で確認でき、さらに集簇している免疫細胞にJAK2が高発現していることが判明し、このことはJAK阻害薬が唾液腺組織と免疫細胞の両者に作用しうることを示している。唾液腺導管細胞株を用いたin vitroの解析では、2種類のJAK阻害薬がIFN-γ誘導性CXCL10発現を抑制することが明らかとなり、今後の研究につながることから、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
1. JAK阻害薬はCXCR3+炎症性細胞の走化性に与える影響の解析:2種類のJAK阻害薬がCXCL10の発現抑制だけでなく、リンパ球をはじめとしたCXCR3+炎症性細胞浸潤のリクルートを阻止するかをMigration assayにて検討する。 2. SS 患者口唇腺における免疫細胞のイムノフェノタイピング:SS患者の口唇腺サンプルを用いてマルチプレックスIHCを用いて各免疫細胞の発現量を解析し、免疫細胞の種類に応じて亜集団に層別化する。 3. SS患者口唇腺イムノフェノタイプ別のJAKファミリーの発現様式の解析:IHCイムノフェノタイピングにて層別化したグループごとに口唇腺におけるJAK1、JAK2、JAK3、TYK2の局在と発現量を解析する。この結果から免疫細胞イムノフェノタイプに応じたJAK阻害薬の紐づけ作業を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
JAK阻害薬を当初4種類使用予定であったが、ペフィシチニブ、ウパダシチニブ、フィルゴチニブの入手が遅れたため次年度使用額が生じた。翌年度分として請求した研究費とあわせて残る3つのJAK阻害薬のCXCL10発現への影響をRT-qPCR、ELISAで解析し、その費用に使用する予定である。
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