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2022 年度 実施状況報告書

口腔癌におけるヘミデスモソーム蛋白BP180の発現制御と浸潤プロセスへの関与

研究課題

研究課題/領域番号 22K10173
研究機関九州大学

研究代表者

安河内 篤  九州大学, 歯学研究院, 共同研究員 (30724968)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードヘミデスモソーム / がん / BP180
研究実績の概要

ヘミデスモソーム(細胞-基質間接着装置)構成蛋白であるBP180は、水疱性類天疱瘡の主 要な抗原として知られている。これまでに、各種ヘミデスモソーム構成因子が皮膚の創傷治癒や癌進展に関わっていることが証明されているものの、BP180については、その発現制御機構のみならず、癌の病態における役割も未解明のままである。
そこで、本研究課題は、口腔扁平上皮癌におけるヘミデスモソーム構成蛋白 BP180の発現制御機構(正常組織とのメカニズム異同)解析、さらにそのリガンドの同定を行い、口腔癌の浸潤過程におけるBP180の役割を追究し、癌進展におけるBP180の分子基盤を明らかにすることを目的としている。
これまでに、培養細胞を用いた実験により、BP180発現制御が野生型p53のみならずmiR-203a-3pによっても行われていることを証明した。なお、その際、miR-203a-3pはp53非依存的にBP180の発現を制御するが、同時にp53が当該 miRNAの発現制御を行うことを示唆するデータを得た。そこで、本研究では、これらの実験結果をふまえ、口腔癌におけるBP180、野生型p53、変異型p53、miR-203a-3pの連関と発現制御の相互性について、ヒト正常歯肉細胞株、口腔癌細胞株を用いた強制発現系・ノック ダウン実験、転写解析(プロモーター解析実験)を行なった。また、実際のヒト口腔癌組織においてもin vitroで証明された関係が成立しているか検証を行い、BP180 の発現制御機構を解析した。
これまでの解析結果から、BP180の転写誘導には、野生型p53 、変異型p53、miR203a-3p の両者が相互に関与していることを証明している。また、癌組織におけるBP180が、接着装置因子としてだけでなく、基底膜の形成や維持にも寄与していること、また、癌の浸潤機構には、そのシステム崩壊が深く関わっていることを示唆するデータを得た。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の計画通りに進捗している。

今後の研究の推進方策

BP180の様々な欠失変異体を作成し、培養細胞に導入することで、ヘミデスモソームへの組み込みに対する影響を解析し、基底膜成分の存在あるいは非存在下で、 ヘミデスモソーム構成因子の局在を解析する。さらに、それぞれの変異体導入時におけるヘミデスモソーム構成効率、細胞接着能力、細胞運動能、浸潤能の評価を2Dおよび3Dの細胞培養系で行う。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Id4 modulates salivary gland homeostasis and its expression is downregulated in IgG4-related disease via miR-486-5p2023

    • 著者名/発表者名
      Hayashi Y, Kimura S, Yano E, Yoshimoto S, Saeki A, Yasukochi A, Hatakeyama Y, Moriyama M, Nakamura S, Jimi E, Kawakubo-Yasukochi T.
    • 雑誌名

      Biochim Biophys Acta Mol Cell Res

      巻: 1870(2) ページ: 119404

    • DOI

      10.1016/j.bbamcr.2022.119404

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] The role of Id4 in salivary gland and its involvement in the pathology of IgG4-related disease2022

    • 著者名/発表者名
      Kimura S, Hayashi Y, Yano E, Saeki A, Yasukochi A, Moriyama M, Nakamura S, Jimi E, Kawakubo-Yasukochi T
    • 学会等名
      第96回日本薬理学会年会
  • [学会発表] 妊娠母体栄養がもたらす産仔の肝グリコーゲン分解異常とオステオカルシンによる回避2022

    • 著者名/発表者名
      安河内(川久保)友世、矢野恵奈、木村宗惟、溝上顕子、林慶和、安河内篤、中村誠司、自見英治郎、平田雅人
    • 学会等名
      第9回日本DOHaD学会
  • [学会発表] 唾液腺におけるId4の役割と病態への関与2022

    • 著者名/発表者名
      木村 宗惟、林慶和、佐伯彩華、安河内篤、中村誠司、自見英治郎、安河内(川久保) 友世
    • 学会等名
      第64回歯科基礎医学会学術大会

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公開日: 2023-12-25  

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