研究課題/領域番号 |
22K10181
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研究機関 | 日本歯科大学 |
研究代表者 |
佐久間 要 日本歯科大学, 新潟生命歯学部, 講師 (70733319)
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研究分担者 |
小川 徹也 愛知医科大学, 医学部, 教授 (40334940)
田中 彰 日本歯科大学, 新潟生命歯学部, 教授 (60267268)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | PD-L1 / 免疫療法 / 局所少量投与 / 動注療法 |
研究実績の概要 |
近年,がん免疫療法(ICIs:immune checkpoint inhibitors)が急速に発展してきており,再発・転移性症例に対し高い効果を上げている。しかし,全身投与が必要であり,腫瘍細胞以外を認識し攻撃するT細胞の活性化による免疫関連有害事象(irAEs)が問題視されている. 抗体薬の投与量を減らし,irAEの発生を少しでも防ぐことが今後の課題となってきている.今回我々は,担癌マウスの腫瘍へ抗PD-L1抗体薬を直接低用量で投与した群と全身投与した群で,抗腫瘍効果,腫瘍周囲の免疫組織学的環境について比較検討した.マウス頬粘膜口腔扁平上皮癌細胞株(Sq-1979)を使用し,薬剤として抗マウスPD-L1を使用した.Sq-1979細胞株をマウスの背部へ移植し,抗PD-L1抗体を低用量(20mg/body)局所へ,その10倍量(200mg/body)を全身投与した.薬剤投与は3日毎に4回施行し,投与開始21日後に腫瘍縮小率と抗腫瘍効果を検討した.さらに、抗PD-L1抗体薬投与終了後に皮下に増殖した腫瘍を切除し,PD-L1,PD-1,CD8T細胞,Perforin,Granzyme Bの発現を比較検討した。また,蛍光免疫染色にてCD25およびFoxp3を確認し,腫瘍内のTreg発現を比較した.結果,局所低用量投与群と全身通常量投与群で抗腫瘍効果は同程度であり,いずれもControl群と比較し抗腫瘍効果を認めた.薬剤投与群はいずれもControl群と有意差(p<0.05)を示した.また,PerforinおよびGranzyme Bの発現は局所低用量群で高いことが確認された(p<0.05). 抗PD-L1抗体の局所低用量投与は,全身通常量量投与と同程度の抗腫瘍効果を示し、口腔扁平上皮癌における局所低用量投与が有用である可能性が示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
薬剤の納品などが、世界情勢により遅れていることから実験系に遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
PD-L1の局所実験は、行っており論文投稿まで終わっている。リンパ節における実験および抗CD4抗体を使用した局所投与実験を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウイルスや世界情勢の影響により、薬液や動物の入荷に大幅な遅延があったため次年度使用額が生じた。令和6年度は、マウス実験およびCD4抗体薬、免疫染色やフローサイトメトリーに用いる消耗品費に充てる予定である。また、論文の執筆投稿も予定している。
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