研究実績の概要 |
放射線治療は臓器機能の温存や形態維持をすることができるため, 口腔扁平上皮癌の治療 に大きな役割を果たしている. しかし, 病期が上がるにつれて放射線に抵抗性を示すことから,治療成績は依然として不良であり, 放射線治療抵抗性(耐性)に対する有効な治療法の開発が熱望されている. 本研究では, 新たなゲノム編集技術である CRISPR/Cas9 を利用したゲノムワイド機能欠損型スクリーニング法を用いて, 生物学的プロセスの基盤となる機能的なエピスタシスネットワークの解析・同定を行うことで, 放射線耐性に関わる生物分子学的機構を解明する. 耐性メカニズムに関連する遺伝子群を解析し, それらの遺伝子の中から耐性に関与するキーとなる候補遺伝子を選別するとともに, アンメット・メディカル・ニーズに応えるべく, 耐性克服薬を探索することを目的とした。本研究は実臨床でおいて重要な課題である放射線耐性を克服する研究であり, 過去の実績のように新規耐性克服薬の検索同定に成功すれば, 非常に大きな社会的意義が得られる.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Drug repositioning の手法も用いて複数の治療薬を開発してきた実績があり, 標的分子を検索・同定することに終わらず, 実際に臨床で用いることができる治療薬を開発することを明確な目的としている. 従来法の shRNA ライブラリーを用いたスクリーニング法ではなく, CRISPR スクリーニング法を用いることで, 偽陰性を見落とす可能性が少なくなることから, 耐性の克服に関する基盤研究として安定したデータの獲得が可能と考えるため.
|