研究課題/領域番号 |
22K10191
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
浅輪 幸世 東京大学, 医学部附属病院, 特任講師 (10769912)
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研究分担者 |
西澤 悟 東京大学, 医学部附属病院, 特任助教 (00646200)
古村 眞 東京大学, 医学部附属病院, 特任教授 (10422289)
星 和人 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (30344451)
疋田 温彦 東京大学, 医学部附属病院, 特任教授 (60443397)
酒井 崇匡 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (70456151)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 軟骨再生医療 / モールド |
研究実績の概要 |
顎顔面領域における先天性の口唇口蓋裂に伴う鼻変形(唇裂鼻変形)や外傷性の高度斜鼻・鞍鼻や悪性腫瘍摘出後の鼻変形は、機能的、整容的にQOLを著しく低下させる障害である。そのため、自己組織もしくは人工物を移植する鼻修正術が行われている。しかし、肋軟骨や腸骨などの自己組織は拒絶反応がない一方、全身麻酔下で採取しなければならないため、患者への侵襲が大きい。人工物としてはシリコンインプラントなどが使用されるが、感染や露出などの拒絶反応のリスクがある。そのため、低侵襲で自家細胞由来の軟骨組織を得る方法が求められてきた。 軟骨再生医療は上記の問題を解決する治療法として期待されている。申請者らは、口唇口蓋裂に伴う鼻変形治療に使用可能な、三次元形状と力学強度を併せ持った再生軟骨の開発を行い、自己耳介軟骨細胞/アテロコラーゲン/ポリL乳酸足場素材による鼻用インプラント型再生軟骨を作製することに成功した。この再生軟骨はメッシュ状の生体分解性ポリマーを足場素材として使用することによって3次元形状と力学的強度を担保しているが、移植時に生体反応が少なからず生じることや、多孔体足場の間隙に基質が形成されるため、均一な再生軟骨が得られないといった問題点がある。 令和4年度はモールドを介した細胞培養システムの構築およびin vitroでのモールド型再生軟骨の培養法の確立を目的に研究を実施した。まずPEGベースのモールドでプレ検討を行い、2D旋回培養で良好な軟骨基質が観察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
in vitroでのモールド型再生軟骨の培養法の確立として、三次元形状を付与するために3Dプリンタを用いて鋳型を作製した。形状はブロック型を試作した。作製したモールドにアテロコラーゲン細胞懸濁液を注入、ゲル化後、モールドごと静置培養と旋回培養を行い比較した。コントロールとしてモールドなしでも培養を行った。培養3週間後の解析では、静置培養と比べ50rpmで培養した再生軟骨は組織学的評価においてよりメタクロマジーを示し、軟骨基質の成熟が観察された。モールドなしと比較するとモールドを使用することで、形状維持が可能であった。中心壊死も観察されなかったことから作製したモールドの循環性は問題ないと推測された。以上、実験の進捗は問題ないと考える。
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今後の研究の推進方策 |
さらに良好な軟骨基質を産生させるための培養法を模索し、細胞培養システムを構築する。形状は最終的にインプラント型再生軟骨を参考にドーム型模型(10x6x3mm)を目標にする。in vitroでの培養方法の確立後、in vivo移植によるスカフォールドフリー再生軟骨組織の有用性評価を行う。培養後、Tetra-PEGゲルモールドから再生軟骨を取り出し、三次元形状を付与した再生軟骨をF344/NJcl-rnu/nuラット(6週齢、雄)の背部皮下に移植し、移植8週間後、組織学的、物理的、生化学的組成、力学強度など再生軟骨の成熟度および形状維持を解析し、スカフォールドフリー再生軟骨の有用性を評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、まず現有する評価方法を用いたため節約が可能となった。動物実験も必要最低限に留めた。次年度は、モールドの試作や評価キットの購入、動物実験に使用する予定である。
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