研究実績の概要 |
口腔癌の免疫環境においてNotch遺伝子ファミリーの役割と免疫チェックポイント阻害薬の関連性を明らかにしてきた. 最初にNotch1-4遺伝子の発現をqPCRにて検索し、スクリーニングを行った。Notch1の発現はOSC-20, HO-1-u-1, SAS株で高発現、HSC-3株で低発現を示し細胞株によって発現量に特異性があることから, それぞれのシグナル異常を解明するために, 前記4株に対してwhole exome sequence (WES)による変異解析を行った. その結果HO-1-u-1, SASでNotch受容体の細胞外ドメイン(NECD)に, HSC-3で細胞内ドメイン(NICD)に変異を認めたが, OSC-20に変異は認めなかった. さらにNotch signal inhibitor (DAPT)で処理するとqPCRにてNotch1遺伝子の発現低下ならびにwestern blot(WB)でNICDおよびその下流の標的遺伝子であるHes1タンパクの発現抑制を認めた. 同様にsiRNAにてNotch1をknockdownするとNotch1遺伝子の発現低下ならびにNotch1, NICD, Hes1タンパクの発現抑制を認めた.つぎにNICDの局在の変化を調べるために蛍光免疫染色を用いた.その結果DAPTで処理するとNotch1のNICDの核内移行が抑制され,シグナル伝達が制御されている結果となった. このほかNotchシグナル経路を制御すると, がん細胞表面に発現しているPD-L1は減少し, 細胞内でのPD-L1の発現量が上昇する細胞株がみられ, Notch1の変異とPD-L1の発現の関連性を検索している.
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