研究課題/領域番号 |
22K10202
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研究機関 | 東京歯科大学 |
研究代表者 |
福田 謙一 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (80228907)
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研究分担者 |
高野 正行 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (50197117)
照光 真 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (60401767)
松坂 賢一 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (70266568)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | T2*緩和時間 / 脂肪含有率 / 磁化移動率 / 末梢神経 / 舌神経 |
研究実績の概要 |
神経は、髄鞘が破壊されることによって神経機能の低下および異常感覚や疼痛が生じる。 我々は神経障害性疼痛モデルラットの下歯槽神経MRIで、10ms付近 の短時間T2*(T2スター撮影)緩和時間が顕著に変化し脱髄との関連が示唆された。これが実際にヒトでも認められるのか、髄鞘を構成する高分子(脂肪)と接する水分子の磁化移動の計測、テンソル画像による神経線維の髄鞘化解析、さらに病理組織標本での脱髄を検索し、 非侵襲的な 評価体系を構築する。申請者らは、神経損傷患者の診断から病変部を切除して外科的再生治療までを行い、本研究の遂行を可能にしている。この成果を医原性の外傷性三叉神ニューロパチーの病態評価や診断に応用する。 舌神経損傷後の異常再生には、無髄神経線維の無秩序な再生と瘢痕化の進行が含まれる。T2*緩和時間は、ミエリンや高分子結合組織の含有量によって変化する。そのため、T2*緩和時間を測定することで、 損傷した末梢神経周囲の異常な再生を評価できる可能性がある。本研究では short TE MRI の modified Dixon法を用いて、損傷した舌神経周囲の T2*緩和時間と脂肪含有率を算出し、磁化移動率(MTR)と比較するとともに、その測定値と神経損傷部組織の病理切片との関連性を調査し、外科的治療における術前評価としての有用性を検討する。 初年度は、東京歯科大学水道橋病院口腔外科外来およびペインクリニック外来を受診した下顎第三大臼歯抜歯後に舌神経領域の感覚障害患者15名を対象として、舌神経の病変部、反対側の正常な舌神経の2 か所に関心領域(ROI)を設定し、T2*緩和時間と脂肪含有率を測定し、磁化移動率(MTR)と比較した。病変部の舌神経では T2* 緩和時間、脂肪含有率、MTR ともに値が小さく、病変部では有髄神経が減少し、線維性結合組織が増生していることが推測された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までに、東京歯科大学水道橋病院口腔外科外来およびペインクリニック外来を受診した下顎第三大臼歯抜歯後に舌神経領域の感覚障害を発症した患者15名の測定、分析を終了していて、順調である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、これまでの結果に対して、神経損傷部組織の病理切片との関連性を調べるとともに、症例を追加して測定と解析を継続する。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度での使用を予定していたMRIの結果を解析するソフトについて、予定より安価に入手できたこと、 現在のところ、結果を学会や論文へまとめるまでには至っていないため、それに要する費用が要しなかったことなどである。
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