研究課題/領域番号 |
22K10242
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
岡 綾香 大阪大学, 大学院歯学研究科, 助教 (20635403)
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研究分担者 |
犬伏 俊博 大阪大学, 歯学部附属病院, 講師 (30550941)
山城 隆 大阪大学, 大学院歯学研究科, 教授 (70294428)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 硫酸代謝 / 口唇口蓋裂 / 頭蓋顎顔面の形態形成異常 / Slc26a2遺伝子 |
研究実績の概要 |
【目的】硫酸イオン代謝の異常がどのように口唇口蓋裂をはじめとした顎顔面の形態形成や骨形成異常を引き起こすかを明らかにすること 【方法】マウスを用いて、頭蓋顎顔面が形成される胎生9.5日から16.5日における硫酸トランスポーター遺伝子群の発現部位をin situ ハイブリダイゼーション法にて確認した。さらに、絶対定量QPCR解析で各硫酸トランスポーター遺伝子のCopy numberを算出した。CRISPR/CAS9遺伝子編集技術によりSlc26a2ノックアウトマウスを作製し、ノックアウトマウス胎児の透明骨格標本を作製し、マイクロCTの撮影を行い、形態学的観察を行った。 【結果および考察】E9.5以降の各発生段階で、Slc26a2遺伝子がマウス上下顎骨において発現量が増加し、Slc26a2の発現はSlc26a1に比べて優位であることがわかった。そこで、Slc26a2 遺伝子のノックアウトマウス(以下Slc26a2-KO)を作製したところ、Slc26a2-KO はすべて出直後致死であった。E18.5で取り出したSlc26a2-KO のマウス胎仔は、対照群と比較して、四肢の短小化、顎顔面領域の軟骨低形成、上顎骨の前後方向の低形成が明らかとなり、長管骨の長径は短く、短径は長くなることを示した。これらのことから、頭蓋顎顔面領域において、Slc26a2トランスポーターを介した細胞内への硫酸イオンの取り込みが、頭蓋顎顔面の形態形成異常に重要な役割を果たしていることを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Slc26a2遺伝子欠損マウスの作製において、ノックアウト時期や実験の条件設定をスムーズに行うことができ、おおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
Slc26a2ノックアウトマウスでの口蓋裂を伴う頭蓋顎顔面の形態異常は神経堤細胞由来間葉組織に起因している可能性が高いため、口蓋突起間葉組織を採取し、RNAseqによるトランスクリプトーム解析を行いSlc26a2のKOマウスでの形態異常と最も関連が高いと予想されるシグナル分子や代謝経路を抽出する。免疫組織化学的手法によるin vivoないしは培養細胞を用いたin vitroでの検証実験で、Slc26a2欠失による硫酸代謝異常が頭蓋顔面の形態異常を引き起こす原因を明らかにしていく。
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