研究実績の概要 |
本研究の目的である、口蓋突起癒合部におけるFilamin A (Flna)の発現が口蓋の発生に与える影響を調べるため、2023年度には主に以下の3項目の研究を実施した。 ①遺伝子改変マウスの解析:昨年度に作成した、KRT14-CreマウスおよびFlna floxマウスを交配し、胎生13.5日および14.5日のKRT14-Cre, Flna floxマウスを解析した。口蓋組織の薄切切片を作成し、蛍光免疫染色法を用いてFLNA, E-cadherinおよびTGF-betaシグナリングの下流で発現するタンパクの産生を対照群と比較した。この研究を通して口蓋突起部上皮消失の重要な因子であるTGF-βとFlnaとの関係を検討した。 ②上記の胎生13.5日および14.5日のKRT14-Cre, Flna floxマウスの口蓋組織を摘出後、器官培養を行い、メカニカルストレスがKRT14-Cre, Flna floxマウスおよび対照群の口蓋組織に与える影響を検討した。この研究を通して口蓋突起部上皮消失の重要な因子であるFlnaとメカニカルストレスとの関係を検討した。 ③昨年度に引き続き、Nanostring社のGeoMXを用いた空間的トランスクリプトーム解析を行うための準備実験を行なった。胎生14.5日のKRT14-Cre, Flna floxマウスの口蓋組織のパラフィン薄切切片を作成し、GeoMXのコールドランを行い、パラフィン切片で作用する抗体の選出を行なった。 さらに、これまでの結果を纏め、Developmental cell, Nature communications, EMBO, Journal of Clinical Investigationなど幾つかの発生学の雑誌に投稿したが、まだ論文受理には至っていない。
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