研究課題/領域番号 |
22K10263
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
簡野 瑞誠 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 非常勤講師 (40345301)
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研究分担者 |
米満 郁男 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (00431940)
竹村 裕 東京理科大学, 創域理工学部機械航空宇宙工学科, 教授 (60408713)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 矯正力計測システム / 高精度6軸センサー / 矯正力 / モーメント |
研究実績の概要 |
矯正治療のメカニクスが歯に与える力やモーメントを計算する様々な試みは行われてきたが、歯が実際に受ける矯正力を計測することは技術的に極めて困難であった。そのため臨床的には、矯正歯科医が感覚と経験を頼りにワイヤーなどの装置の調整を行っているのが現状であり、客観性・定量性・再現性にきわめて乏しいと言わざるを得ない。その状況を打開すべく、我々が近年開発した微小6軸センサーを複数用いることで、実寸大の模擬歯列を用いた画期的な臨床型矯正力計測システム開発を行ってきた。 模擬歯2歯に0.018×0.025-inch slot セルフライゲーションブラケットを同じ高さに接着し、高精度6軸センサーを搭載したOrthodontic simulatorを用いて実験を行った。抜歯空隙閉鎖を想定した2歯の実験モデルにて、エラストメトリックチェーンを両模擬歯に装着して計測を行った。抜歯空隙に2歯が倒れ込まないためのVベンドの大きさ、ワイヤーの種類、エラストメトリックチェーンによる牽引力の大きさの適切な関係を明らかにし、第82回日本矯正歯科学会学術大会にて発表を行った。 また、2歯モデルから3歯モデルへ拡張し、これまでと違い、中央の模擬歯を上下、前後に動かせる設計とした。叢生のある歯列を模擬的に作り出し、本来は歯列のレベリングのみに用いる事がほとんどであるNi-Tiワイヤーが、3歯のレベリングを行いながら第一大臼歯を近心移動による抜歯空隙閉鎖を行うために有利な条件を検証中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2歯モデルから3歯モデルヘの拡張は完了していたが、さらに模擬歯の位置を上下前後に自由に変化させる事ができる実験系を作成することに成功した。また、分担研究者や研究協力者の所属する東京理科大学、工学院大学とも1か月から2か月に一回程度、定期的にミーティングを行っており、実験結果の進捗報告ならびにそれを踏まえた実験系へのフィードバックを適宜行うことが出来ているため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、現在使用している3歯モデルの計測を継続して行いつつ、模擬的な歯科矯正用アンカースクリューを組み込んだ新たなメカニクスの検証を行なっていくことを目標とする。このシステムの開発は、矯正臨床における既存の力系の評価のみでなく、新しい治療法の提案をも期待できる。東京理科大学理工学部と連携し、3次元画像データとの統合的評価により、マルチブラケット治療の定量的評価など、実際の矯正歯科臨床に役立てることを想定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験に必要な消耗品の量が当初の予定より少なく済んだ。また、精密機器の買い替え等の必要性も生じなかったため、次年度使用額が生じている。今後、3歯から4歯、5歯と模擬歯を増設する際に、新たに高精度センサーを追加購入する予定である。
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