研究課題/領域番号 |
22K10269
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
鋸屋 侑布子 大阪大学, 大学院歯学研究科, 助教 (40803078)
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研究分担者 |
門田 珠実 大阪大学, 歯学部附属病院, 助教 (10908643)
野村 良太 広島大学, 医系科学研究科(歯), 教授 (90437385)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ヘリコバクター・ピロリ菌 / 口腔細菌叢 |
研究実績の概要 |
本研究は、ヘリコバクター・ピロリ菌と歯周病原性細菌叢の関係について検討することを目的として行っている。 ヘリコバクター・ピロリ菌は胃がんの原因菌であり、小児期に口腔を介して感染が成立すると考えられている。これまでの研究により、ピロリ菌の定着において齲蝕が重要なファクターの一つであることが示唆されている一方で、成人においては歯周病原性細菌との関連が研究されているが、小児口腔内における関連については分かっていない。 本研究では、小児および成人の唾液サンプルから細菌DNAを抽出し、PCR法によりピロリ菌の検出を行うとともに、次世代シーケンサーによる16SrRNA遺伝子の増幅を行い、QIIME2を用いてバイオインフォマティクス解析を実施した。その結果、α多様性解析において成人のピロリ菌陰性サンプルでは、小児のピロリ菌陰性サンプルと比較して多様性が有意に高かったが、成人の陽性サンプルと小児の陽性サンプルの間では有意な差は認められなかった。さらに、ピロリ菌陽性と陰性の小児サンプルの間でβ多様性に有意差が認められた。これらの唾液サンプルを属レベルで分類学的に解析を行ったところ、ピロリ菌陽性と陰性サンプルの間でフソバクテリウム属、ポリフィロモナス属を含む数種類の細菌の相対的存在量に有意差を認めた。しかし、成人ではポリフィロモナス属においてのみ、ピロリ菌陽性サンプルが陰性サンプルと比較して有意により豊富であることが示された。これらの結果から、ピロリ菌陽性の小児口腔内には、ピロリ菌感染と関連する可能性のある特異的な口腔細菌叢を有することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、小児および大人の唾液サンプルを用いてバイオインフォマティクス解析を実施したことにより、ピロリ菌陽性の小児口腔内には、ピロリ菌感染と関連する可能性のある特異的な口腔細菌叢を有する可能性が示され、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
小児口腔サンプルの大規模調査を行うことで、ピロリ菌の定着と歯周病原性細菌叢の関係について検討を行う予定である。 具体的には、本学歯学部附属病院小児歯科を受診し、同意を得られた1歳~15歳までの小児患者を対象として唾液およびデンタルプラークを採取する。採取した各サンプルから細菌DNAを抽出したのちに、PCR法によりピロリ菌の存在を検討する。さらに、同じ口腔サンプルから歯周病原性細菌10菌種について、菌特異的プライマーを用いたPCR法による検出を行うことにより、ピロリ菌の存在の有無と定着する歯周病原性細菌種の関係を検討する。また、サンプルを採取した患者に対して歯周状態および齲蝕罹患状態の記録を行い、これらの情報を網羅的に解析することにより、ピロリ菌の存在と小児口腔環境の関係を分析したいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 口腔サンプルの分析数がまだ少なかったため、物品費が想定より少なく収まった。また、コロナの影響により国際学会への参加ができず、旅費の使用が少なかったことによる。 (使用計画) 今年度の研究成果を国際学会へ参加し発表を行う予定である。また、大規模口腔サンプルの分析を行い、その成果の発表を行う。
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