研究課題/領域番号 |
22K10280
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
中嶋 昭 日本大学, 歯学部, 准教授 (50297842)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | TGF-beta / 口蓋裂 / 二次口蓋 / 分子生物学 / 成長・発育 |
研究実績の概要 |
Transforming Growth Factor beta (TGF-β) は,二次口蓋の正中癒合上皮(Medial Edge Epithelium: MEE)に強い遺伝子発現を示すことが明らかとなってきている。TGF-βは,TGF-β1, -β2, -β3の3つのisoformが存在し,TGF-β1およびTGF-β2のconditional knockout (TGF-β1-/-,TGF-β2-/-)mouseは,二次口蓋癒合期前に胎生期死亡することが報告されている。TGF-β3-/- mouseでは,MEEが上皮癒合せず口蓋裂となることが知られている。しかし,二次口蓋癒合時における,TGF-β1, β2, β3のそれぞれの機能をsingle knockdownおよびdouble knockdownした際のTGF-β signaling pathwayについては,十分に明らかとなっていない。本研究目的は,二次口蓋のorgan cultureにより,TGF-βの機能をsiRNA処理でsingleおよびdouble knockdownを行い,ligand,receptor,downstream signalingおよびcross talk遺伝子の発現への影響について検討し,二次口蓋癒合時におけるTGF-β signaling pathwayの詳細について解明を行うことである。本研究の学術的独自性は,RNAiによりTGF-βをsingle knockdownおよびdouble knockdownすることによるligand同士の発現, receptor,downstreamであるSmad signaling pathwayや関連遺伝子への影響について明らかにし,症候群性および非症候群性口蓋裂の病因を解明することである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.Small interfering RNA (siRNA) 処理下における二次口蓋成長発育の観察:胎生13日目のマウス口蓋突起のみ摘出し,フィルター上に試料をのせ,濃度200nMのsiRNAを含有したOPTI medium (Gibco) 溶液にてorgan cultureを行う。 2. MEE細胞の単離およびreal-time RT-PCRによるmRNA発現の定量解析:MEE細胞を単離を行った後、mRNA extraction kit(Quiagen)を使用し,MEE細胞のmRNAの抽出を行う。抽出したmRNAより1 st strand RT-PCR法でcDNA合成を行う。PCR primerを設計合成し,Quantitative real time RT-PCR法により上記遺伝子の増幅を行い,遺伝子発現を検討する。 3. Western blot法によるTGF-β遺伝子タンパク発現の定量解析:胎生13日目のマウス二次口蓋をsiRNA処理し,organ cultureしたsampleを,lysis bufferにてhomogenizeを行い,SDS-page Western blot 法にて,Target遺伝子タンパク発現量をコントロールと比較し確認を行う。また,濃度依存性であるかどうかについても検討を加える。 以上1~3に記載した「研究の目的」について、マウス胎児E13の二次口蓋についてsiRNAをtransfectionし、72時間まで培養を行い、Western blot法にてそれぞれのLigandの発現が抑制されているか確認し、siRNAの濃度依存的にタンパク発現は減少し、300-500nMの濃度のsiRNA transfection条件下で、Ligandを約80%の発現抑制することを確認できた。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度以降はdouble knock down siRNA処理した際の,二次口蓋成長発育のphenotypeおよび免疫染色にてdown stream遺伝子発現のdistributionの観察を繰り返し行う。定量解析においてはWestern blot (SDS-page)法にて,transcription factorおよびExtracellular matrix (ECM)タンパク発現を観察する。さらに,Quantitative real time RT-PCR法にて遺伝子発現の定量解析についても検討を行う。 1)Western blot法によるタンパク発現の観察 試料をlysis bufferにてhomogenizeを行い,SDS-page法にて,sampleのloadingを行う。その後,membraneにtransferし,blocking処理を行った後,一次抗体および二次抗体を反応させ,Western blot detecting kit (Roche)にてタンパク発現量の定量比較を行う。 2)real-time RT-PCR法によるmRNA発現の観察 Down streamのmRNA発現については, 上記同様の試料からmRNA extraction kit(Quiagen)を使用し,mRNAの抽出し,RT-PCR法でcDNA合成を行った後,TGF-βに関わる転写因子のprimer合成し,quantitative real time RT-PCR法により発現を比較検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2022年度に申請した予算は、一部の細胞培養液や実験器具等を本学研究費にて購入しており、`器官培養に必要なOPTI medium (Gibco) 培養液および解剖に必要な実験器具を購入しなかった為,支出残金が生じた。2023年以降は、新たに試薬を購入し、サンプル数を増やし、dataの確認を行うとともに、Target遺伝子の免疫染色を行う。さらにTGF-β ligandのknock downを行った場合のdown stream遺伝子、特にSmad2のリン酸化および口蓋癒合に関係の深いtranscription factorについてタンパク発現および遺伝子発現をコントロール群と比較検討を行う予定である。また、TGF-と関係の深いExtra cellular matrixについても検討を加える。すなわち、研究費は、実験動物、免疫染色に必要なkit、siRNAを含めたtransfectionを行うために使用する試薬、Western blot試薬および遺伝子の抗体、RT-PCRに使用する試薬およびプライマー合成費に使用する予定である。
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