研究課題/領域番号 |
22K10318
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
有川 量崇 日本大学, 松戸歯学部, 教授 (50318325)
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研究分担者 |
五十嵐 憲太郎 日本大学, 松戸歯学部, 助教 (00843971)
Bhawal Ujjal 日本大学, 松戸歯学部, 講師 (50433339)
田口 千恵子 日本大学, 松戸歯学部, 助教 (80434091)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 唾液 / 唾液腺 / 認知機能 / 咀嚼力 / ドライマウス |
研究実績の概要 |
3ヶ月齢および24ヶ月齢のC57BL/6(WT)マウスおよびDec1KOマウスを使用し、total RNAをそれらの大脳組織から単離した。 マイクロRNA (miRNA) 発現をマウスmiRNAアレイ分析によって分析し、続いて定量的RT-PCRで検証した。著しく発現の異なるmiRNAの標的をmiRNA予測データベースを用いて予測し、予測された標的遺伝子の経路分析をバイオインフォマティクスリソース(GeneSpring、Ingenuity Pathways AnalysisおよびTargetScan)を用いて解析した。 71個のmiRNAは、老齢WTマウスと比較して、老齢Dec1KOマウスの大脳では有意に異なっていた。アップレギュレートされた41個のmiRNA、および30個のmiRNAはダウンレギュレートされた。機能分析は、これらのmiRNAによって潜在的に調節される多くの経路が代謝シグナル伝達、AMPKシグナル伝達、ミトコンドリア機能不全、上皮間葉転換経路、およびサーチュインシグナル伝達経路に関与していることを示した。 大脳の老化の調節におけるこれらのmiRNAの役割をさらに理解するための重要なリソースであることが示唆された。 今後は同定された遺伝子上流にターゲットmiRNA の配列を検討するとともに、分子メカニズムなど、組織レベルの変化を加え、加齢による大脳の機能変化関連遺伝子を絞り込んでいく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本来は動物実験と並行して、ヒトによる臨床研究も実施予定であった。しかしながら、新型コロナウイルス感染症が蔓延しており、対象者が唾液腺機能障害者を含むことから、とても臨床研究を実施できる環境ではないという理由で、倫理審査委員会への提出を見送っていた。次年度は、新型コロナウイルス感染症も5類対応となることから、臨床研究を進めていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
日本大学松戸歯学部倫理審査委員会に提出後、唾液腺機能障害者の認知障害をMMSE、WAIS、CAT、咀嚼意識と咀嚼行動は質問紙調査票、咀嚼力はガム法、および咀嚼に関連する舌圧を用いて測定し、その関連性を検討する。対象者本人の自由な意思による承諾を得、事前に調査の目的、内容、方法などを十分に説明し、調査途中であっても本人の意思によっていつでも中断することが可能であることを伝え、理解と同意を得るものとする。対象者の認知障害の程度をMMSE (Mini-Mental State Examination)、 WAIS (Wechsler Adult Intelligence Scale)、 CAT (Clinical Assessment for Attention)を用いて評価した。咀嚼意識・咀嚼行動は自記式質問紙調査票を用いて、咀嚼力は直接的咀嚼力を(株) ロッテ社製キシリトール100%ガムを用いたガム法で評価し、咀嚼に関連する指標として舌圧をJMS舌圧測定器および舌圧プローブを使用し評価する。統計ソフトSPSS 27.0Jを用いて解析し、認知障害の程度と咀嚼意識・咀嚼行動・咀嚼力との関連性を検討する。また、高次機能障害者に対するMAIPの有効性を検討する。MAIP(Masticatory Ability Improvement Program)実施前後のデータを統計ソフトSPSS 27.0Jで解析し、MAIPの有効性を検討する。
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