研究実績の概要 |
概日リズムの異常から睡眠障害がきたされることについて,動物実験を継続した。高齢マウスの脳組織でmiR-200a-3p の発現レベルが有意に増加した。老化したマウスは脳機能障害を発症し,線維症,アポトーシス,オートファジー,炎症などの病理学的変化を示した。Twist 野生型および変異体 (Twist-WT/MUT) プライマーを設計し,さらに RT-qPCR によって合成した。続いて,Twist野生型フラグメントと変異フラグメントを,T4リガーゼを使用してベクターに別々に連結した。HEK293T 細胞に miR-200a-3p mimics/NC および Twist-WT/MUT ベクタープラスミドを室温でトランスフェクトし,ルシフェラーゼ活性を検出した。miR-200a-3p の上昇により,Twist-wt のルシフェラーゼ活性は実質的に減少したが,Twist-mut によりこの効果が無効となった。miR-200a-3p は,Twistと相互作用して脳の老化を促進したと考えられる。 咀嚼に関する予備的研究として, 脳外科に入院した死亡退院を除く65歳以上の高齢者を対象とし, 診療録による後方視的調査を行った。栄養状態の指標として, 血中アルブミン値(Alb値), 経口摂取指標(咀嚼、嚥下が行える)としてFood Intake LEVEL Scale (FILS)を用いて, 入退院時のAlb値およびFILSの検討を行った。また, 入退院時それぞれにおける代替栄養群(FILS:1~6), 経口摂取群(FILS:7以上)の2群に分け, 平均在院日数を比較した。入退院時のAlb値およびFILSに有意差は認められなかった。経口摂取が可能であった患者は代替栄養群に比較し, 有意に在院日数が少なかった。在院日数の減少には, 退院時FILSの影響が強いことが示唆された。
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