研究課題/領域番号 |
22K10319
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研究機関 | 日本歯科大学 |
研究代表者 |
加藤 智崇 日本歯科大学, 生命歯学部, 臨床講師 (40724951)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 交流分析 / 行動変容 / 口腔衛生指導 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、患者にスマートフォンを用いたアプリケーションによって、行動変容を促し、良好なプラークコントロールを獲得するために必要な、基礎データを得ることである。プラークコントロールを左右する因子に患者のパーソナリティが考えられるが、患者間や術者間でバラつきが見られることから再現性に疑問がある。歯科以外の分野では、交流分析やスマートフォンアプリを用いた認知行動療法の有効性が報告されており、術者間のバラつきを抑制する可能性がある。本研究は「交流分析」(TEG:東大式エゴグラム)を用いて、患者パーソナリティーを評価し、歯周組織検査値や既存の口腔衛生指導といった臨床検査値の関連を明らかにするため、まず、primary studyとして、日本歯科大学附属病院に勤務する歯科医師を対象として、パーソナリティと臨床検査値:歯周組織検査(プラークコントロールレコード、bleeding on probing、 probing pocket depth)との値を比較した。一連のprimary studyによって、どのような術者でも同じように評価するシステムを構築することが可能になった。またパーソナリティと臨床検査値の関連についても、すでに2022年末に関連学会の学術大会にて報告をした。 2023年においては、スマートフォンで使用するアプリケーションについて検証してきた。当初の予定では、既存のアプリケーションを用いることを検討していたが、アプリ作成会社との協議のうえ、患者への行動変容を促す事が難しいことが明らかなとなった。次善の策として、別途、歯科医師が開発したスマートフォンアプリを代用することによって、患者の行動への影響を調査してデータが集まりつつあり、関連学会にて報告する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年度中に実施予定であったスマートフォンのアプリケーションと交流分析の関係について、実際の患者から資料を得る予定であった。しかし、当初、使用する予定であった既存のスマートフォンアプリが、ブラッシング指導や受診勧奨といった歯科への利用が難しいことが判明した。次善の策として、他のアプリケーションを用いる予定であり、このアプリケーションの性能等の検証を行っていることから、研究に遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度に得られたアプリケーションについてデータを取りまとめ発表を行う。そして、2024年度中には、このアプリケーションを実際の患者に用いてどのように行動が変容するのかを検証する。そして、その行動変容の過程において、患者のパーソナリティを交流分析によって解析することによって、患者ごとのテーラーメイドの口腔衛生指導システムの効率に資するデータを得られると期待している。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度に、スマートフォンアプリケーションの検証やシステムの構築に時間がかかり、本来使用するはずであった臨床研究の費用が当該年度ではほとんど発生しなかった。そして、この臨床研究が後ろ倒しになったため、次年度使用額が生じた。この使用計画については、申請時の計画とほぼ変化していない。
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