研究課題/領域番号 |
22K10334
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
佐藤 しづ子 東北大学, 大学病院, 助教 (60225274)
|
研究分担者 |
菊池 雅彦 東北大学, 大学病院, 教授 (60195211)
庄司 憲明 東北大学, 歯学研究科, 大学院非常勤講師 (70250800)
駒井 三千夫 東北大学, 農学研究科, 名誉教授 (80143022)
飯久保 正弘 東北大学, 歯学研究科, 教授 (80302157)
白川 仁 東北大学, 農学研究科, 教授 (40206280)
島崎 伸子 岩手医科大学, 歯学部, 常任研究員 (30337258)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | うま味感受性低下 / フレイル / サルコペニア肥満 / タンパク質摂取量 / 高齢者 / 味覚障害 |
研究実績の概要 |
高齢者では、「うま味感受性低下」による食欲不振から栄養障害を生じ、フレイルに至ることがあるといわれている。一方、Covid 19パンデミック後の現在、外出自粛に起因する運動量低下からサルコペニア肥満が増加し、サルコペニア肥満でも「うま味感受性低下」が生じているといわれている。うま味は、タンパク質摂取のシグナルであるために「うま味感受性低下」は、タンパク質摂取量を低下させて骨格筋量を減少させてフレイルやサルコペニア肥満の発症と悪循環に関わる可能性があるが、その実態は不明である。 2023年度は、味覚障害を主訴として東北大学病院を受診した患者を対象として、以下のデータ取得を行った。①医療面接による患者背景、年齢、性別、既往歴、服薬の詳細。②味覚検査:a)電気味覚検査、b)濾紙ディスク法による味質毎の閾値測定:甘味、塩味、酸味、苦味は厚生労働省の通達(2022年12月)に従って、東北大学病院の医薬品安全管理室に院内製剤としての調剤を申請し病院の承認を得て、東北大学病院で院内製剤「濾紙ディスク法による味質定量検査液」として作成し検査液を、使用前に文書を用いて患者に説明し同意書を得てから使用し検査を行った。うま味はグルタミン酸ナトリウム水溶液5濃度を用いた測定(倫理委員会で承認)。③血液検査による血清アルブミン量、総タンパク量、A/G比、血清亜鉛量、血清鉄量、貧血などの栄養関連因子の測定。④唾液分泌量測定:摂食障害要因の有無などを確認するために測定。⑤口腔真菌培養検査:摂食障害に関連する口腔粘膜疾患として検査を行った。⑥食品摂取調査および栄養状態評価:エクセル栄養君アドインソフト食事摂取頻度調査FFQg(株式会社 建帛社)、簡易栄養状態評価(MNA-SF)(Nesle社製)。⑦体重、身長、BMI測定。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
理由 2023年度は、前半はコロナ感染の影響で、東北大学病院歯科へ味覚障害を主訴として受診する患者が減少したままで本研究に参加に同意を得られる患者はいなかった。また、基本4味の味質検査キッドであるテーストディスク(三和化学研究所)の製品出荷が終了したため、厚生労働省の通達(2022年12月)に従って東北大学病院の医薬品安全管理室に院内製剤としての調剤を申請したが、申請手続きならびに審査に時間がかかり、病院の承認を得て東北大学病院で院内製剤「濾紙ディスク法による味質定量検査液」として作成し検査液を患者に利用できたのが2023年10月下旬であったため、研究を再開できたのは11月以降となり、今年度の実験参加者はごく僅かであった。
|
今後の研究の推進方策 |
2023年5月から、日本でのコロナ感染症に対する医療水準がインフルエンザと同等の5類へ引き下げられ、2024年は、東北大学病院歯科へ受診する味覚患者数がコロナ以前へ回復することが見込まれ、確保できる実験参加者数が増加することが期待できる。味覚障害を主訴に来院した患者へ、本研究への参加を積極的に促し、研究を推進する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
メーカーによる味質検査キッド(基本4味:甘味、塩味、酸味、苦味)の製造・販売に伴い、東北大学病院で患者に味質検査を行うために院内製剤としての申請が必要となったが、申請手順に滞りが生じ、また申請の承認まで時間がかかったために、予定していた実験を半年以上にわたり行うことができなかった。 2024年度は、病院へ味覚障害を主訴に来院した患者に研究参加を促し、研究遂行のために研究費を使用する計画である。
|