研究課題/領域番号 |
22K10340
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
新林 友美 島根大学, 医学部, 技術専門職員 (50529675)
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研究分担者 |
遠藤 昭博 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 准教授 (00619728)
田辺 一明 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 教授 (30236658)
臼田 春樹 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 助教 (30707667)
和田 孝一郎 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 教授 (90263467)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 高病原性口腔内細菌 / 心血管病変 / 保菌率 |
研究実績の概要 |
心疾患(心房細動、狭心症、大動脈狭窄症)を有する被験者と心疾患やその他全身疾患のない被験者(健常者)で口腔内における高病原性細菌の保菌率を検討した。高病原性細菌としては、う蝕の原因性菌であるstreptococcus mutans (S.m)を評価対象とした。また、歯周病の原因性菌については代表的な菌種としてPorphyromonas gingivalis (P.g)、Tannerella forsythia (T.f)、Treponema denticola (T.d)、Prevotella intermedia (P.i)の保菌率を検討した。健常者24名、各心疾患の被験者22-33名で検討を行ったところ、心疾患の被験者では疾患の種類を問わず、S.m、P.gの保菌率が健常者よりも高かった。P.iについては大動脈狭窄症以外の有病者において健常者よりも約2倍の保菌者が認められた。また、特徴的な結果としては、S.mutansの内、コラーゲン結合タンパク(cnm)を有する亜種の保菌者が狭心症の被験者で多く認められた。この亜種はcnmを介して血管に付着し、脳出血を悪化させることや弁膜症の悪化に寄与する可能性が示唆されている。また、狭心症の患者では他の患者よりもP.gの保菌率も高く、これら2種類の菌が疾患の状態に創刊する可能性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初目的としていた高病原性細菌の保菌率の評価を達成することができたので、進捗は順調である。
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今後の研究の推進方策 |
ヒトの検討では個体差が大きいため、健常者のサンプルを増やして再度本年度と同様の検討を行う。また、来年度の検討課題として、次世代シーケンサーを用いて健常者と心疾患保有者の口腔内細菌叢の比較を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度の検討では次世代シーケンサーの検討まで行わなかったことから、少額で済んだ。来年度は被験者を増やして本年の検討結果として得られた高病原性細菌の保菌の傾向を確定してから次世代シーケンサーの解析を行う。次世代シーケンサーの検討は1回の解析で50万円程度費用が掛かるため、十分な解析を行うための費用として本年度の残りの予算を使用する。
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