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2022 年度 実施状況報告書

免疫系に働きかけるラクトフェリン機能発現の解明と高齢者ウイルス感染制御への展開

研究課題

研究課題/領域番号 22K10344
研究機関奥羽大学

研究代表者

廣瀬 公治  奥羽大学, 歯学部, 教授 (10218836)

研究分担者 小林 美智代  奥羽大学, 歯学部, 講師 (80316265)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードラクトフェリン / poly(I:C) / インターフェロンλ
研究実績の概要

ウイルス感染における粘膜免疫におけるラクトフェリン(LF)の役割を明らかにするために、ヒト小腸上皮様の細胞株であるCaco2を用いて研究を行った。 ウシラクトフェリンを添加後、ウイルス RNA を模倣する合成二本鎖 RNA である Polyinosinic-polycytidylic acid (Poly I:C)を添加して自然免疫応答メカニズムの解析を行った。 以下の結果を得た。
1)LFとpolyI:Cの添加において、LFが濃度依存的にインターフェロン(IFN)λ、IFNα、IFNβの産生を増強することを明らかにした。特に粘膜免疫において重要な役割を果たすIFNλの産生誘導が顕著であった。Poly I:Cの添加を行わず、LFのみ添加した群においては、これらIFNsの誘導は認められなかった。
2)インターフェロンの刺激によって転写誘導されウイルス感染防御に働く分子であるインターフェロン誘導遺伝子の発現動態を検討した。その結果、インターフェロン誘導膜貫通蛋白質(IFITMs)1/3、MX1、 ISG15の遺伝子発現が、LFとPoly I:Cの添加により有意に誘導された。Poly I:Cの添加を行わず、LFのみ添加した群においては、これらの遺伝子の発現誘導は認められなかった。
これらの結果から、ラクトフェリンは小腸におけるウイルス感染時にIFNλを中心としたいくつかのIFNsおよびインターフェロン誘導遺伝子群の発現を活性化させ、ウイルス感染防御を促す可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

レンチウイルス を利用して作成したSARS-CoV-2偽型ウイルスのCaco2に対する感染効率が低く、感染量に違いが認められないため。引き続き、偽型ウイルスの作成を試みていく。

今後の研究の推進方策

① レンチウイルス を利用して作成したSARS-CoV-2偽型ウイルスの口腔内におけるウイルス高感受性細胞の探索:ヒト口腔粘膜由来初代培養上皮細胞 (HGK) 、歯肉線維芽細胞 (HGF)、歯根膜線維芽細胞 (HPLF) に対し、偽型ウイルスの感染実験を行う。
②高齢マウスに対するpoly(I:C)とラクトフェリンの効果を検証: 若齢(6-7週)および高齢マウス(12-24か月)にpoly(I:C)を鼻腔内に投与後、LFを投与し、口腔内組織(舌, 歯肉、舌下腺、顎下腺)などにおける抗ウイルス反応(IFNs, ISGs)、炎症性サイトカイン(IL-1β, IL-6, TNF-α)、抗ウイルス作用のある抗菌ペプチド(LF, α/βディフェンシン, LL-37)の発現を調べる。そのことにより、若齢と高齢マウスによる免疫応答の時間的変化や発現因子の違いを解析する。

次年度使用額が生じた理由

レンチウイルスの作成が遅れたため、当初の見込み額と執行額が異なった。
研究計画に支障はなく、次年度において研究試薬等に繰り越した研究費も含めて使用する。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Lactoferrin as a Possible Preventive and Therapeutic Agent Against SARS-CoV-2 Infection.2023

    • 著者名/発表者名
      Kobayashi-Sakamoto, M., Maeda, T., Yusa, J., Tani, H., Kato, Y., & Hirose, K
    • 雑誌名

      Journal of Disaster Research

      巻: 18 ページ: 27-33

    • DOI

      10.20965/jdr.2023.p0027

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Bovine lactoferrin increases the poly (I: C)-induced antiviral response in vitro.2022

    • 著者名/発表者名
      Kobayashi-Sakamoto, M., Maeda, T., Yusa, J., Tani, H., Kato, Y., Hirose, K
    • 雑誌名

      Biochemistry and Cell Biology

      巻: 100(4) ページ: 338-348.

    • DOI

      10.1139/bcb-2021-0342

    • 査読あり
  • [学会発表] ラクトフェリンのヒト小腸様細胞株Caco-2に対する抗ウイルス作用の解析2022

    • 著者名/発表者名
      小林美智代 , 前田豊信 , 谷 英樹 , 加藤靖正 , 廣瀬公治
    • 学会等名
      第11回東北口腔衛生学会総会
  • [学会発表] In vitroにおけるラクトフェリン 抗ウイルス作用の解析2022

    • 著者名/発表者名
      小林美智代 , 前田豊信 , 遊佐淳子 , 加藤靖正 , 廣瀬公治
    • 学会等名
      第71回奥羽大学歯学会

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公開日: 2023-12-25  

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