研究課題/領域番号 |
22K10352
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研究機関 | 鶴見大学 |
研究代表者 |
村田 貴俊 鶴見大学, 歯学部, 講師 (10313529)
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研究分担者 |
宮之原 真由 鶴見大学, 歯学部, 学部助手 (70460186)
山下 万美子 日本歯科大学, 生命歯学部, 助教 (20909676)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | Streptococcus mutans / 脳卒中 / コラーゲン結合タンパク |
研究実績の概要 |
コラーゲン結合タンパクを細菌表面に発現するStreptococcus mutans(ミュータンス菌)感染と脳卒中発症との関連が報告されている。しかしながら、脳卒中罹患部からのミュータンス菌体単離の報告はない。本研究は、菌体そのものではなく、「菌体外に分泌、または剥離するコラーゲン結合タンパクが病原因子である」という仮説に基づく研究である。 作製したコラーゲン結合タンパク特異的抗体とミュータンス菌が分泌するグルコシルトランスフェラーゼが交差反応を示し、コラーゲン結合タンパクを含む分子を単離するための免疫沈降を阻害することが明らかになった。そのため、研究当該年度には、ミュータンス菌が有する3種類全てのグルコシル トランスフェラーゼ遺伝子を破壊したミュータンス菌株を作製した。ウェスタンブロッティング法による分析で、コラーゲン結合タンパクが培養上清中に存在することを確認している。引き続き、免疫沈降法で培養上清からコラーゲン結合タンパクを含む分子の単離を試みた。しかしながら、目的とする分子の単離には至らなかった。本来のコラーゲン結合タンパクの分子量は100 kDa以下であるが、培養上清中の分子は約120 kDaの分子量を示すことをウェスタンブロッティング法で確認している。この所見から、菌体外に分泌、または剥離するコラーゲン結合タンパクは、単独で存在するのではなく、細胞壁を構成するペプチドグリカンと結合、存在し、抗体認識部位が隠されているのではないかと着想した。その正体として細胞外小胞メンブレンベシクルを想定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究で作製した抗コラーゲン結合タンパク抗体が、ミュータンス菌が菌体外に分泌するグルコシルトランスフェラーゼと交差反応を示した。そこで、ミュータンス菌が有する3種類全てのグルコシルトランスフェラーゼ遺伝子を破壊したミュータンス菌株の作製が必要となり時間を要した。また、遺伝子破壊株の培養上清から免疫沈降法で抗コラーゲン結合タンパクが単離できなかったことが研究課題の進捗に影響を与えた。そのため、やや遅れているとした。
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今後の研究の推進方策 |
ウェスタンブロッティング法による分析で、コラーゲン結合タンパクが菌体外に分泌、または剥離して存在することは間違いない。一方、その存在様式は、これまでの所見から、細胞外小胞メンブレンベシクルに包含されていると想定している。この存在様式を確認するための手段として、メンブレンベシクルは超微構造を有するため免疫電子顕微鏡観察を試み、コラーゲン結合タンパクがメンブレンベシクルに包含されていることを確認する。
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次年度使用額が生じた理由 |
免疫電子顕微鏡観察を委託予定であったが、そのための抗体精製と新鮮サンプルの取得が当該年度内に終了できないと想定されたため該当年度内の委託計画を中止した。そのための抗体精製委託費と免疫電子顕微鏡観察委託費が未使用となった。 次年度開始後、直ちに抗体精製の委託と新鮮サンプルの調整を行い、免疫電子顕微鏡観察を委託する。
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