研究実績の概要 |
フレイル高齢者への包括的環境要因調査票(Yabuwaki et al., 2008)に準拠した包括的環境支援を最適化するアルゴリズムを開発するために,今年度はフレイルの有無を従属変数としたCEQのカットオフポイントや重要な環境要因を決定するための研究計画を作成し,所属機関の研究倫理委員会の承認を得た. 本計画では,条件に合致する高齢者300名以上を対象として,フレイルの判定や以下の自記式質問紙と検査を行うものとする.調査内容は,対象者の基本情報と生活状況(居住形態,外出頻度,運動習慣等),握力や歩行速度,包括的環境要因調査票簡易版(CEQ-SF)とする.また,対象者が身体的,または精神・心理的,社会的フレイルの状態にあるかを判断するために改訂J-CHS基準(Stake et al., 2020)とMakizakoの指標(Makizako et al., 2015)を用いる.加えて,対象者の認知機能低下,うつ症状の有無を明らかにするために,Japanese version of the Montreal Cognitive Assessment(MoCA-J)(Fujiwara et al., 2010),Japanese version of the Geriatric Depression Scale 15(GDS-15-J)(Sugishita et al., 2017)を実施する. 当初,フレイルの判定には改訂J-CHS基準とTilburg Frailty Indicator(Gobbens et al., 2010)を用いる予定であった.しかし,Makizakoの指標は,負の健康アウトカムとの予測的妥当性が高く,社会的フレイル,プレ社会的フレイルの判定基準が明確であることから,Tilburg Frailty Indicatorより変更することとした. 得られたデータより,J-CHS基準やMakizakoの指標による身体的,または精神・心理的,社会的フレイルの有無を従属変数としたCEQ-SFのカットオフポイントをROC曲線により算出する.さらに,精神・心理的,社会的フレイル,あるいは軽度認知障害やうつの有無を従属変数としたロジスティック回帰分析を行い,重要な環境要因を抽出する研究計画となっている.
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