研究課題/領域番号 |
22K10395
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研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
山本 智朗 杏林大学, 保健学部, 教授 (30433600)
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研究分担者 |
只野 喜一 杏林大学, 保健学部, 助教 (20759443)
長瀬 美樹 杏林大学, 医学部, 教授 (60302733)
深見 光葉 杏林大学, 保健学部, 助教 (80881341)
松友 紀和 杏林大学, 保健学部, 准教授 (90781237)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | postmortem imaging / gross anatomy / medical imaging / medical education / contrast agent / Autopsy imaging |
研究実績の概要 |
2023年度は昨年度までの研究実績を元に、予定されている死後画像用造影剤の開発と実際の遺体に投与と、油性造影剤を食用動物の臓器を用いた造影の研究を行った。また、死後画像用造影剤投与装置のデザインを元に予算内で制作してもらえるメーカーと試作機を開発した。さらに、継続して本学科の学部生による死後画像を参照しながらの肉眼解剖実習を行い、実施アンケートを実施し、追加データの途中経過を解析した。 CT用はヨウ化カルシウム、MR用は酢酸ガドリニウムがベース化合物として適していることを基礎実験を通して確認したので、献体に投与して実際の造影検査を行った。投与装置については、ポンプの強さを0~100%に可変させることは出来るが、これを投与率に変換する変換テーブルを作成する必要はあり、投与量を変化させて、投与量の誤差や投与率の測定を実行した。 2023年度の研究成果発表(演題名は短縮)としては、国際学会のISFRI2023(フランス・トゥールーズ、2023年5月25~27日)にて3演題「① Novel water-soluble...magnetic resonance imaging、②Development of water-soluble...computed tomography angiography、③Coronary artery detection...magnetic resonance imaging」の発表を行った。国内学会では第39回日本診療放射線技師会(熊本、2023年9月29日~10月1日)にて3演題「①死後CT血管...の比較、②ポリエチレングリコール...の基本特性、③」診療放射線技師...その可能性」の発表を行った。また、8月21日から5日間、本学学生5名と肉眼解剖を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度まで研究結果を元に、2023年度に計画した内容はほぼ実施できたが、投与装置の基本特性の調査だけは少々手間取っている。その原因は、多種な粘度を持たせた造影剤の投与に関する基本特性は、高精度な粘度計が必要であり、他学科の装置を借りて行っていため、進捗状況が予定より遅れている。しかし、最も頻度の高い使用方法の特性は取得したので、概ね順調と判断した。造影剤については、血管細胞への影響を肉眼顕微鏡で観察したが、内皮細胞の一部変形はみられたが、肉眼的視認においては変化がなく、マクロ的な変化は軽微と判断できた。 油性造影剤については輸入に伴い非常に高価となっているため、食用動物(豚)の心臓を用いた基礎実験に留まった。しかし、先行研究と同様な傾向を得られたが、献体への使用はコスト的に難しいと判断している。従って、CTおよびMR用の造影剤に対する基礎化合物は現状として1つに絞ったが、今後も更なる探求を行うこととする。 造影CTと造影MRについては概ね方向性は纏まりつつあるが、同時に問題点も新たに出てきているので、今後も検討していく。頭部DSAについては、スコア分類の方が定量的に描出分類可能であることを示唆していたが、その後も症例を重ね精度向上を図る、現状では統計的に有意な評価を示すことが出来ると予測している。
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今後の研究の推進方策 |
造影剤については、これまでの候補化合物を元にさらに化合物のpH調整や安定化の方法もさらに模索する。CT再像プロトコールについては概ねルーチン化出来ている。また2024年度から新装置に更新され、Dual Energyが使用可能となったため、石灰化の評価や血栓部位の組成解析などへの応用の可能性を検討したい。MRにおいては体温の低下に伴う撮像プロトコール(特にTI時間)の最適化を検討しないいけない。先行研究はあるものの、そのままで方法では本装置ではうまくいってないので、あたらに基礎検討を加える必要がある。DSAにおいては現状の方法だとインジェクター投与の場合、刺入部からのリークが多く、マニュアル投与で加減しながらでないと有効な造影が難しいことがわかっている。先行研究ではバルーンカテ―テルの使用例があったが、それが本学でも可能か否かは要検討対象となる。 これまでの研究から、小さな問題点や解決すべきことがいくつかあるので、それを1つ1つ解決していく必要があるが、方向性は見えているので、研究を纏めながら成果を論文等で残していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度内に使用する消耗品等は購入出来ており、残金も17,492円と多くはなかたので、大凡予定通りの支出である。個の残金は2024年度に予定している造影剤用可化合物やシリンジ類などの消耗品と合わせて合算したいと考えている。
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