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2023 年度 実施状況報告書

もの忘れ予防検診を通した聴覚障害に関連する包括的研究と支援体制の構築

研究課題

研究課題/領域番号 22K10403
研究機関久留米大学

研究代表者

柳本 寛子  久留米大学, 医学部, 講師 (00441676)

研究分担者 森田 喜一郎  久留米大学, 付置研究所, 客員教授 (20140642)
児玉 英也  久留米大学, 医学部, 助教 (30758834)
小路 純央  久留米大学, 付置研究所, 教授 (50343695)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2026-03-31
キーワード聴力検査 / 聴覚障害 / 認知症 / もの忘れ予防検診 / 頭部MRI
研究実績の概要

超高齢社会の我が国は、今なお高齢者及び認知症患者の増加が見込まれている。認知症対策は予防や早期発見・早期介入が重要である。2017年に公表されたLancet委員会の報告でも、認知症の修正可能な危険因子として肥満や高血圧、糖尿病などの生活習慣の他、難聴も重要な因子としている。先行研究から難聴は高齢者の日常生活動作(ADL)やQOLにも関連することが示唆され、また認知症との関連についての報告もなされているが、未だ不明な点も多い。また高齢者は難聴をしばしば認めても受診や補聴器使用に至らないケースもあり、単に早期発見のみならず、二次予防三次予防の観点から支援体制の構築も不可欠である。
我々は、2005年度より地域包括支援センターと久留米市と協働で、地域に出向いたもの忘れ予防検診に取り組んできた。本検診において、高齢者総合機能評価(基本チェックリスト)、スクリーニング検査としての認知機能検査(改訂版長谷川式簡易知能評価スケール:HDS-R、Mini-Mental State Examination: MMSE、10単語記銘力検査)、体組成計や運動機能検査、樹木画テストなどの心理評価などに加え、嗅覚に着目した取り組みを行ってきた。
今回難聴と認知症の因果関係について包括的評価を行うために、オージオメトリーをもの忘れ予防検診にて実施し、聴覚機能の低下を抽出し、生活習慣病等の疾患の有無、ADLや基本チェックリスト、HDS-R、MMSE、Clinical Dementia Rating(CDR)との関連性の検討を行う。また、認知機能低下及び認知症の疑いの方、 聴覚障害が示唆される方については、当院において、頭部MRIによる脳統計画像解析や適宜耳鼻科での詳細な検査を実施し、解析を行い、聴覚障害と認知機能との関連性について検討を行っている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

これまで新型コロナの影響を受け、もの忘れ予防検診が何度も延期・中断を余儀なくされてきたり、検診時の定員数を減らしての対応を行っていた。特に5類相当に変更以降は、検診事業も再開可能となり、今後順調にデータが集まってくるものと思われる。令和4年度令和5年度の過去2年間では、もの忘れ予防検診受診者が合計139名となっている。今後さらなる対象者の数が増え各種検査データを踏まえ分析をすることにより難聴(聴力障害)と認知症の関連を明らかにするとともに、予防への取り組みにつなげていきたいと考えている。

今後の研究の推進方策

久留米市もの忘れ予防検診にて認知症の疑いを持つ方をピックアップして久留米大学病院もの忘れ外来へとつなぎ、MRIなどの脳画像を始めより詳細なデータの収集を行い、さらなる蓄積に務める。
また令和5年度に、研究分担者である小路が委員長を務めている久留米市認知症支援ネットワーク会議(オレンジ会議)を中心に作成した、一般市民の方々が、認知症のことを正しく理解して、予防や早期発見や治療に繋げていただけることを目的とした『久留米市認知症支援ガイドブック』の改定を行った。今後さらなる改定も検討されており、認知症予防の取り組みとして、この支援ガイドブックにおいても、聴力障害について取り上げ普及啓発に努めたり、また医療機関としても耳鼻咽喉科の先生方のご協力も得られるような取り組みを検討している。
さらには佐賀県三養基郡基山町にて、久留米大学と基山町との連携協定に基づき、令和3年度からの介護予防検診のサポートも行っており、令和4年度より、オージオメーターを用いた介護予防検診においても、「聴こえのチェック」として検討を開始した。

次年度使用額が生じた理由

物品購入は、前年度にて概ね済んでいたため、また 研究成果発表のための学会発表はコロナ後で活動開始となったものの、オンライン等で完結するものも増えたため思ったほど旅費がかからなかった。今後は研究成果の印刷代等に使用する予定である。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (6件)

  • [雑誌論文] Characteristic of olfactory function in four types of dementia and non-dementia subjects using smell identification test.2024

    • 著者名/発表者名
      Yamashita Y, Shoji Y, Yanagimpoto H, Morita K, Kodama H, Tsuruhisa Y,Ookawa J
    • 雑誌名

      Psychogeriatrics

      巻: 24(1) ページ: 25-34.

    • DOI

      10.1111/psyg.13036

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] ポケット嗅覚識別テストを用いた外来高齢者の3年間の経過.2023

    • 著者名/発表者名
      佐藤 守,森田喜一郎,山下裕之,児玉英也,吉本幸治,小路純央
    • 学会等名
      第119回日本精神神経学会学術総会
  • [学会発表] ものわすれ予防検診における単一「しりとり」課題施行中の脳酸素化ヘモグロビンの変動:嗅覚障害との検討.2023

    • 著者名/発表者名
      児玉英也,森田喜一郎,吉村絵美,佐藤 守,山下裕之,吉本幸治,小路純央
    • 学会等名
      第119回日本精神神経学会学術総会
  • [学会発表] 統合失調症者、妄想性障害者の嗅覚識別テストと頭部MRI検査の検討.2023

    • 著者名/発表者名
      吉村絵美, 森田喜一郎, 児玉英也, 佐藤 守,山下裕之,吉本幸治,小路純央
    • 学会等名
      第119回日本精神神経学会学術総会
  • [学会発表] 物忘れ外来における嗅覚障害:DATスキャンによる検討.2023

    • 著者名/発表者名
      森田喜一郎,吉本幸治,児玉英也,山下裕之,小路純央
    • 学会等名
      第42回日本認知症学会学術集会
  • [学会発表] 高齢者に対する日本版ポケット嗅覚識別テスト(UPSIT-J)の4年間の結果2023

    • 著者名/発表者名
      大川順司,佐藤 守,森田喜一郎,児玉英也,吉本幸治,小路純央
    • 学会等名
      第42回日本認知症学会学術集会
  • [学会発表] 単一しりとり課題施行中の脳酸素化ヘモグロビンの変動と嗅覚機能 5年間のまとめ.2023

    • 著者名/発表者名
      児玉英也,森田喜一郎,吉村絵美,音琴佐和子,佐藤 守,山下裕之,吉本幸治,小路純央
    • 学会等名
      第42回日本認知症学会学術集会

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公開日: 2024-12-25  

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