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2022 年度 実施状況報告書

思春期若年成人がん患者のニーズに則した対話行動変容支援法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 22K10405
研究機関国立研究開発法人国立がん研究センター

研究代表者

岡村 優子  国立研究開発法人国立がん研究センター, がん対策研究所, 研究員 (90872804)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード思春期若年成人世代がん患者 / コミュニケーション / 質問促進リスト
研究実績の概要

本研究では、思春期・若年成人(Adolescent and young adult: 以下AYA)世代がん患者における情報のニーズを踏まえたAYA世代に特化した質問促進リスト(Question asking Prompt List: QPL)含む対話支援アプリを開発し、「アプリを用いた対話支援法により、受診の間の期間にも患者の情報ニーズ(診断、治療、妊孕性、就学、就労、パートナーとの問題、晩期障害等)が充分に整理され、最も知りたい情報に関する質問に呼応して医師の回答行動が引き出されることにより、質の高い対話と患者の満足度増加につながり、医師への信頼が向上する」という仮説を検証することを目的としている。
研究① AYA-QPL開発(2022年度)
【方法】16-39歳のがんと診断を受けている患者(男性5名・女性5名)を対象に、インタビューガイドに基づき、これまで医療者に質問してきたこと、質問したかったができなかったこと等に関しインタビュー調査を行う。録音データより逐語録を作成し、二人の独立した評価者が質的内容分析(Fujimori et al., 2015)を行う。その結果とニーズ調査の結果(Okamura et al., 2021)からAYA-QPLを開発する。
【結果】インタビューを行った患者背景(N=10):女性5例、年齢中央値36歳(範囲20-38歳)、がん診断:肉腫3例、乳腺、白血病他各1例、診断からの年数中央値4.5年(範囲1-16年)。質的内容分析の結果、122の逐語切片は6カテゴリ(病状、検査、治療、仕事、妊娠・子育て・性生活、COVID-19を含む感染症)に分類された。特に、仕事、妊娠・子育て・性生活に関する質問項目は世代を反映した内容であると考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

録音データより逐語録を作成することと質的内容分析に予想を上回る時間を要したため。

今後の研究の推進方策

研究①AYA-QPL開発を終え、2023年度は研究②のAYA-QPL有用性検証を予定している。
研究② AYA-QPLを含む対話支援の有用性検証(2023-2024年度)
【研究】無作為化比較試験
【対象者】16歳から39歳のがんと診断を受け、治療予定もしくは治療中の患者【対象数】60名:先行研究(Shirai et al., 2012)の成人患者参加率72%より算出する。【介入群】AYA-QPLを配布し、使用方法を説明する。【対照群】国立がん研究センターがん情報サ
ービスのウェブサイトのQRコードを配布する。【手順】国立がん研究センター中央病院腫瘍内科と骨軟部腫瘍科外来診療後に研究説明を行い、同意の得られた患者を研究事務局で登録し、割付を行う。割付作業の間にベースライン調査(社会学的背景:家族構成、教育年数、就学・就労状況、婚姻状況、ソーシャルサポート)を行う。データセンターによる中央割付結果に従い、資料を配布する。次回の診察後に医療スタッフとの対話等の評価を行う。【評価項目】主要評価項目:医師との対話の満足度, 副次評価項目:医師への信頼感(TiOS); 患者評価による有用性; 質問数と内容; 精神的苦痛(Hospital Depression and Anxiety Scale); 生活の質(EORTC QLQ-C30); 医学的背景(カルテ):がんの部
位、病期、身体活動度、治療予定、治療歴; 社会学的背景(聴取):年齢、性別、家族構成、教育年数、婚姻状況、雇用状況、ソーシャルサポート【統計解析方法】 主要評価項目の記述統計量を算出し、t検定により群間比較を行う。副次評価項目の連続データに関してはt検定により群間比較を行い、カテゴリー変数データに関してはχ二乗検定を行う。

次年度使用額が生じた理由

当該年度で予定していたアプリ開発に至らず、その他で計上していた委託費と人件費がかからなかったこと、また、コロナ禍の影響で海外で行われる学会への参加がなかったことから次年度使用額が生じたと考えられる。
使用計画:検証試験に関する人件費、国内外の学会参加費、旅費、論文投稿などの支出を予定している。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Development of an Online Communication Skills Training Program for Oncologists Working with Adolescents and Young Adults2023

    • 著者名/発表者名
      Masako Okamura, Maiko Fujimori, Eiichi Saito, Yuko Osugi, Nobuya Akizuki, Yosuke Uchitomi
    • 雑誌名

      JOURNAL OF ADOLESCENT AND YOUNG ADULT ONCOLOGY

      巻: - ページ: 1-7

    • DOI

      10.1089/jayao.2022.0102

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 医師を対象とした思春期・若年成人世代がん患者とのコミュニケーション技術研修会開発2022

    • 著者名/発表者名
      岡村優子
    • 学会等名
      第35回日本サイコオンコロジー学会総会
  • [学会発表] 医師を対するコミュニケーション技術研修-精神科医の役割と新しい取り組み-2022

    • 著者名/発表者名
      岡村優子
    • 学会等名
      第35回日本総合病院精神医学学会総会

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公開日: 2023-12-25  

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