研究課題/領域番号 |
22K10406
|
研究機関 | 一般財団法人医療経済研究・社会保険福祉協会(医療経済研究機構(研究部)) |
研究代表者 |
浜田 将太 一般財団法人医療経済研究・社会保険福祉協会(医療経済研究機構(研究部)), 研究部, 副部長 (80712033)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 高齢者 / 薬物療法 / ポリファーマシー / フレイル / 介護施設 / データベース |
研究実績の概要 |
フレイルや要介護状態の高齢者の増加に伴い、それらの患者における薬物治療の適正化は公衆衛生上の優先課題となっている。しかし、これまで介護施設入所者や在宅医療を受ける高齢者の薬物治療は十分には評価されていない。本研究の目的は、フレイルや要介護状態をどのように薬物治療の決定・最適化に活用すべきかについて検討するための基礎資料を提示することである。
介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)入所者(4施設の約300人)に対して、FRAIL-NHを用いたフレイル評価を行い、あわせて薬剤使用実態を調査した。対象者の約9割はフレイルであり、約2/3は重度フレイルであった。約1/4が多剤併用(ここでは9種類以上と定義)であり、約2/3が高齢者に慎重な投与を要する薬剤(potentially inappropriate medications、PIMs)の処方を受けていた。また、オーストラリアの介護施設入所者に対する薬物治療との比較によって、予防薬と症状改善薬のバランスや鎮痛薬の処方と痛みの管理方法といった観点からの研究を進めている。
NDBオープンデータを用いて、高齢者に対する人参養栄湯の処方量の経年的な変化を検討した。その結果、とくに2017年度から2018年度、80歳以上で増加傾向が認められた。その背景として、これまでに基礎研究や小規模の臨床研究から人参養栄湯がフレイルや認知症に対して有用である可能性が示されてきたことがあると考えられたが、さらなるエビデンスが必要であると考えられた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
データ収集・解析は順調に進んでおり、研究成果の公表も順次行っている。
|
今後の研究の推進方策 |
介護施設入所者の薬物治療に関しては、複数の国際共同研究を含めて、引き続き学会発表や論文投稿を進めていく。また、自治体から得られた医療・介護連結データベース等を用いて、複数の研究テーマの解析を進める。
|
次年度使用額が生じた理由 |
解析用パソコンの保守・管理コストを考慮して購入ではなくリースで対応したこと、学会をオンライン参加主体としたこと、人件費の使用が後ろ倒しとなったことから次年度使用額が生じた。次年度は、パソコンリース代の他、学会発表や論文投稿といった成果発表を中心に研究費を充当する予定である。
|