研究課題/領域番号 |
22K10412
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
日根野 晃代 信州大学, 医学部附属病院, 講師(特定雇用) (20596366)
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研究分担者 |
中村 昭則 信州大学, 医学部, 特任教授 (10303471)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 患者情報共有システム / AI / 難病医療 / 地域連携 / 体制構築 / ICT |
研究実績の概要 |
我々は、2011年より神経難病患者を中心にICTを用いた患者情報共有システムを運用している。まず、本システムの利用状況、有効性を検討するために、2018年4月から2022年3月までの期間で3か月以上利用のあったページを対象にページ毎の利用者の職種内訳、コミュニケーション機能の入力回数を集計した。特に筋萎縮性側索硬化症(ALS)では、気管切開、人工呼吸器装着に対する意思決定支援前後で患者本人の入力回数を検討した。入力回数の割合では患者は意思決定前は全体の12.5%、決定後は0.1%であり、意思決定前には患者本人が入力し、関係者間とやり取りしている状況が明らかとなり、意思決定支援にも本システムが活用できる可能性が示唆された。 また、これまでのALS患者ページの関係者の入力内容をAI解析し、リスク、Good Pointとなるコメントを抽出し、医師2名、看護師/保健師3名の判断(タグ付け)と比較検討した。医師、看護師/保健師によるタグ付けでは、リスクは職種と臨床経験年数による傾向がみられたが、Good Pointでは難病支援に従事した年数に比例しており、特に看護師/保健師では、臨床経験年数はあるが難病支援の経験が少ない場合、リスクは捉えられるもののGood Pointは捉えにくくく、このことが難病支援への不安感、抵抗感に寄与している可能性が考えられ、リスクだけでなく、Good Pointを可視化することで支援者の評価、モチベーションの向上につながることが期待できる。 さらに本システムの活用として、患者の個別支援だけでなく、就労支援や難病相談、保健所との連携などに拡大に取り組んでおり、難病診療連携コーディネーターと難病相談支援センターによる定期的に訪問相談を行い、システム内に記録、共有することで、人が変わっても途切れない支援体制の構築を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
過去のデータの利用状況の解析は終了し、論文執筆中である。AI解析はリスク、Good Pointの抽出機能は、改良を進め、実証実験に進む段階である。
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今後の研究の推進方策 |
今後AI解析では、リスクの重要度(ハイリスク)の抽出、Good Pointの精度を向上させ、実証実験を進める。 また、難病患者の相談支援にも利用を継続し、必要な情報を必要な関係者と共有できる利便性と安全性を確立したモデルを作成中である。さらに診療以外の利用拡大を進め、多方面での連携を行い、システムの有用性、追加すべき必要な機能を抽出し、並行して改良を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画で見込んだよりも少額であるが安価に研究が進んだため、次年度使用額が生じた。次年度使用額は令和6年度請求額と合わせて消耗品費として使用する予定である。
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