研究課題/領域番号 |
22K10422
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研究機関 | 国際医療福祉大学 |
研究代表者 |
小野澤 瑞樹 国際医療福祉大学, 市川病院, 教授 (70364677)
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研究分担者 |
河合 弘二 国際医療福祉大学, 医学部, 教授 (90272195)
宮崎 淳 国際医療福祉大学, 医学部, 教授 (10550246)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | 前立腺癌 / ナショナルデータベース / レセプト |
研究実績の概要 |
本研究では厚生労働省へレセプトデータ(NDB)の提供を申請し、審査を経て受領したデータを用いて各種解析を行う計画としている。 2022年度には、過不足のないデータ申請や、データ取得後の遅滞ない解析作業のために、練習用予備コンピューターにおける解析用アプリケーションのセットアップ、サンプルデータを用いた解析用プログラムの作成などにエフォートを集中させた。また、NDBオープンデータを用いて様々な解析を行ったほか、NDBを用いたデータ解析の論文などを通した情報収集なども行った。これらの作業を通して得られたNDBデータの性質に関する情報を生かす形でデータ申請のための準備は順調に進んでおり、申請までの最終段階となっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初予定では、2022年度に解析用データ(75歳以上で前立腺生検をうけた患者の医科入院・医科入院外・DPC・調剤レセプトからの10年分の特別抽出データ)の取得を行うこととしていた。 データ申請の際には研究に必要となる最小限のデータのみを指定することが厳しく求められており、厳格な審査を経てデータ提供の諾否が決定される。このため、2022年度には、過不足のないデータ申請を目指して、解析用データ取得後のデータ解析フローの設定や、解析用プログラムの作成に十分な時間を割いてきた。その作業の課程において、申請すべきデータの項目やデータの抽出条件などに関するブラッシュアップが繰り返し必要となった。このため、当初は2022年度に解析用データの申請を行う想定としていたが、やや遅れが生じ、2023年度前半となる見込みとなった。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度には解析用データ(75歳以上で前立腺生検をうけた患者の医科入院・医科入院外・DPC・調剤レセプトからの10年分の特別抽出データ)の申請を行う予定であり、審査期間において解析環境の構築として、セキュリ対策が講じられた解析専用スペースにおいて、解析用コンピューターワークステーションのセットアップなどを行う。 2024年度には、入手したデータを、各種データハンドリング用のコンピューター言語を駆使して解析用フォーマットへ変換しておく。高齢前立腺癌患者の診断時点での背景因子(年齢区分、診断時の併存疾患、転移有無など)、治療内容、経過中の新規合併症、医療費、および生死情報などにつき記述統計を行い、高齢前立腺癌の診療実態についての学術を行う。 2025年度には、まず、前立腺癌に対する治療内容が経過中の医療費、新規合併症発生、死亡(前立腺癌死または他の原因による死亡)などに及ぼす影響について各種解析を行う。その際には、診断後の経過のみならず治療選択そのものにも影響する測定可能な交絡因子(診断時年齢区分、併存疾患など)や、未測定交絡因子の影響を排除するために傾向スコアマッチング、操作変数法、高次元傾向スコア法など複数の統計手法を用いた解析を行い、結果を比較する。次に、診断時の背景因子や治療内容などを説明変数として経過中の医療費、新規合併症、原因別死亡などを予測する統計モデルを作成する。これらの結果をもとに、治療が不要な集団、従来の内分泌療法が有効な集団、より強力な治療が必要な集団の3つを設定する。更に、これらの3つの集団に対して設定した治療法を当てはめた時に得られる医療費や原因別の生存率などを予測し、感度分析なども行った上で、高齢前立腺癌患者に対する最適な治療法を決定する。 2026年度には得られる研究成果を、学会発表や論文の形で公表する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画においては、2022年度にデータ解析用のワークステーションの購入とセットアップを主体として予算設計をしていた。しかし、2022年度に行ってきた作業を通して、本研究の遂行のために最も根幹となるNDBデータの取得費用を確保しておくことが必須であることが認識された。データ取得費用は申請段階においては明確な金額として把握できないことから、十二分な金額を確保しておくには本年度に予算を集中させておくことが適切と考え、2022年度の使用予定額を2023年度に繰り越すこととした。実際のデータ取得費が判明した時点において、本年度の予算残額に応じて本年度内にデータ解析用ワークステーションの購入を行う予定である。以上のことから、研究期間全体を通して見た場合には、次年度使用額が生じたことは研究目的の達成には影響しないものと考えている。
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