研究課題/領域番号 |
22K10425
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
阿部 百合子 日本大学, 医学部, 准教授 (70750660)
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研究分担者 |
大谷 尚子 日本大学, 芸術学部, 教授 (50584778)
奥田 貴久 日本大学, 医学部, 教授 (20620305)
糸井 充穂 日本大学, 医学部, 准教授 (40422448)
横瀬 宏美 日本大学, 医学部, 助教 (40465274)
鈴木 沙季 日本大学, 医学部, 助手 (10896129)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 模擬患者 / PBL |
研究実績の概要 |
模擬患者は、医学生が医療面接などを学修する際に患者役を演じてくれる協力者であり、患者とコミュニケーションがとれる医師を育成するためには欠かせない存在である。一方、これまでの医学教育においては、模擬患者は教育機関に実際に出向いて患者役を演じることが多いため、模擬患者の人数や日程などに限りがある等の課題もあった。本研究は、医学教育の現場で今後必要不可欠となるであろう「患者に近い」かつ「導入が簡単で継続できる」マルチメディア模擬患者を開発する。当該年度では、日本大学医学部と芸術学部が共同で、神経疾患と呼吸器疾患のマルチメディア模擬患者を開発する。 次に、医学生を対象に、開発したマルチメディア模擬患者を用いたオンライン参加型PBLを確立して教育効果を可視化することを目指した。PBLは問題解決能力を育む教育であり、対面が難しかったコロナ禍では、オンラインによるPBLも新たに試みられるようになってきた。オンラインPBLは感染リスクのない能動的学習であるものの、教員の負担が大きい上にその教育効果は定量されていないという課題もある。当該年度では、作成したマルチメディア模擬患者を用いてオンライン参加型PBLを行った。PBL後に学生と教員から聞き取りを行い、技術上の大きな問題はなかったことを確認した。マルチメディア模擬患者を用いたオンライン参加型PBLの教育効果を検証したところ、学生が患者像や異常所見をイメージしやすく、鑑別疾患も多く挙げられることが明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当該年度では、COVID-19の影響と制限を受けたため、病院内で行う映像医療面接の開発にやや遅れを生じた。その中でも、神経疾患と呼吸器疾患のマルチメディア模擬患者の開発を行った。専門医が専門分野の症例シナリオを作成し、患者役は演技のトレーニングを受けた役者が担当して疾患に合わせて特殊なメイクを行い、映像医療面接を制作した。映像医療面接に血液検査所見、画像所見などの患者情報をインターネット上で組み合わせて、マルチメディア模擬患者とした。 次に、マルチメディア模擬患者を用いて、医学生とテューターがオンラインで参加するPBLを行い検証した。その結果、このオンラインPBLにおいて、オンライン上の技術的な大きな問題はないことを明らかにした。さらに、その教育効果を検証したところ、医学生が患者像や異常所見をイメージしやすく、鑑別疾患も多く挙げられ、学習効果が高いことが明らかになり学会報告を行った。
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今後の研究の推進方策 |
医学的疾患は様々であり、医学生が大学で学ぶべき疾患も多岐にわたっている。マルチメディア模擬患者を用いることにより、医学生は患者像をイメージしながら、より実践的に学修できることが明らかとなった。 当該年度のマルチメディア模擬患者の開発においては、神経疾患と呼吸器疾患の開発を行った。今後は、これら神経疾患と呼吸器疾患に加えて医学生が学ぶべき疾患について、マルチメディア模擬患者の開発を行う。このようにして、マルチメディア模擬患者の種類と数を増やし、更なる検証を推進する研究の方策である。さらに、新たなマルチメディア模擬患者用いたオンライン参加型PBLを検証する。その中で、教員の負担が少なく継続が可能なオンライン参加型PBLの方法を確立させ、教育効果を明らかにする。教育効果が明らかになったマルチメディア模擬患者を用いたオンライン参加型PBLの方法を確立させ、多施設に供給することにより、臨床医学教育の発展に貢献する。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の影響を受け、映像医療面接の開発を病院内で行うことに制限があった。今後は、COVID-19の取り扱いが変わる為、院内での映像医療面接の開発をより推進させることができる。次年度は、マルチメディア模擬患者の開発と模擬患者の人件費などに使用する計画である。
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