研究実績の概要 |
2022年度には、2016年度から2020年度に一健診機関で実施したストレスチェックと特定健診のデータを収集した。糖尿病発症の定義は、HbA1c>=6.5%もしくは特定健診問診票で糖尿病服薬のチェックが入っている、除外基準は2016年度糖尿病発症、2017-2020年度に一度もHbA1cを測定していない、とした。その結果、14,996名(平均年齢49.4歳、男性46.8%、平均BMI 22.7kg/m2、平均追跡日数1252日)のコホートを作成することができた。 このコホートを基に、現在研究課題に着手中である。現時点までに、コホートを以下の5つの分類モデルに分けて、ランダムフォレストを用いた機械学習で5年間の糖尿病発症を予測し、予測精度を比較した。1)基本(年齢、性、BMI)、2)基本+血圧、3) 基本+血液検査(9項目:HbA1c, AST, ALT, GGT, LDL-C, HDL-C, TG, Cr, UA)、4)基本+血圧・問診(12項目)、5) 基本+血圧・問診・ストレスチェック(57項目)。学習データを70%、テストデータを30%とした。機械学習はR言語を用いて、Accuracy(正解率)、AUC(ROC曲線下面積)などの評価指標を算出した。その結果、3) 基本+血液検査(9項目)の指標が最も良好であった。ストレスチェックや特定健診の問診では糖尿病発症予測の良好な結果は現時点では得られていない。 健康診断を受診し、その結果がまだ出ていない段階での保健指導や栄養指導においても、手元にある前回の血液検査結果や今回の基本的な健診項目の結果から、ある程度の糖尿病発症予測が可能であり、有効な指導に繋がることが示唆された。
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