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2022 年度 実施状況報告書

小児救急医療分野におけるハイブリッド・テレ・シミュレーションの教育的効果

研究課題

研究課題/領域番号 22K10462
研究機関金沢大学

研究代表者

太田 邦雄  金沢大学, 医学系, 准教授 (00303280)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2026-03-31
キーワードシミュレーション / 小児救急 / 評価 / DASH / NASA-TLX / 卒前教育
研究実績の概要

医学生に対する小児急性期医療のチーム基盤型シミュレーション実習を、学習者がオンサイトとオフサイト双方から参加できるハイブリッドで実施した。すなわち、オフサイト参加者は自らの思考・行動は口述し、オンサイトの指導者を分身として介入させることで、オンサイトの参加者とチームとして参加する実習形態をとった
【目的】①オフサイト(オンライン)であっても、オンサイトと同等の学修効果があるか、②オフサイト(オンライン)とオンサイトのハイブリッドの場合、参加形態の違いによる個人の知識・技術・態度の学修効果に違いがあるか、③参加形態の違いによってチームのコミュニケーション技術、チームリーダーの役割を学修する環境として適切であるか
【研究デザイン】シミュレーショントレーニング介入前後における個人のパフォーマンスの比較と終了後NASA-TLX調査
【研究方法】小児科臨床実習中の医学部5年生に60分間のシミュレーションを行い、セッションの前後で個別に小児の初期評価、初期対応のOSCEを行う
【結果】28組102名の学生(オンサイト55名、オフサイト47名)を対象とした解析では、実習前後で学習者の知識、技能、コミュニケーションスキル能力は優位に向上(シナリオ形式で実施。30点満点。セッション前:12.8±4.3 VSセッション後:23.7±3.7, p<0.001)したが、参加形態による改善度に有意差はなかった(オンサイト 10.9±3.6 vs オフサイト 11.3±3.8, p=0.574)。学生のディブリーフィングの効果に対する認識にも差はなかった(DASHスコア:オンサイト6.3±0.9 vs. オフサイト6.3±0.8,p=0.918)。またシミュレーションの精神的負荷も差がなかった
【結論】小児救急医療分野におけるハイブリッド・テレ・シミュレーションの教育的効果は、参加形態に依存せず同等である

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究で明らかにしようとする課題には以下のようなものがある
① オフサイト(オンライン)であっても、オンサイトと同等の学修効果があるか、② オフサイト(オンライン)とオンサイトのハイブリッドの場合、参加形態の違いによる個人の知識・技術・態度の学修効果に違いがあるか、③ 参加形態の違いによってチームのコミュニケーション技術、チームリーダーの役割を学修する環境として適切であるか、④ マイクロデブリーフィング法が個人とチームの能力向上に有用であるか
①、②について、シミュレーションセッション前後の客観的臨床能力試験にて学修効果に違いがないことを検証できた
また③についても、終了後NASA-TLX調査によって一定の知見を得た ④については効果を実感しているものの効果測定のための研究デザインにはなっておらず、今後の課題である

今後の研究の推進方策

上記の進捗状況を踏まえ、継続している臨床実習中のハイブリッド・テレ・シミュレーションにおける
④ マイクロデブリーフィング法が個人とチームの能力向上に有用であること、⑤ 学修効果の測定にシミュレーションセッション前後の客観的臨床能力試験を用いていることの妥当性と信頼性評価 特にオンラインで実施したときの信頼性と課題、⑥ オンライン化によって視聴覚認知に伴う負担が学修効果を阻害していないか、⑦ チーム・リーダーの役割を習得する方法として、オンライン参加がメンタルワークロードを軽減するか
について更なる検討を加える
完全オンライン・シミュレーションの試みはあるが、その効果検証は不十分であるばかりか、本研究が採用するオンライン&オンサイト・ハイブリッド・テレ・シミュレーションは新しい形式であり、その検証はこれからであるさらに将来的には遠隔教育というシステムが指導者の育成に活用され、指導者不足解消に役立つとともに、分野を問わずシミュレーショントレーニングの基本構造の構築、質の向上に寄与するプラットフォームになることも期待される。

次年度使用額が生じた理由

一部備品に欠品があり、購入時期が後ろ倒しされたこと、また消耗品の一部に残余の関係から購入を延期したことが理由であり、次年度同目的に使用する予定

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2022 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [国際共同研究] Children’s Hospital of Philadelphia(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      Children’s Hospital of Philadelphia
  • [学会発表] post/withコロナ時代の医学卒前教育におけるシミュレーション実習2022

    • 著者名/発表者名
      太田邦雄
    • 学会等名
      第125回日本小児科学会学術集会
    • 招待講演
  • [学会発表] Does mode of student participation matter? Hybrid tele-simulation for pediatric emergency training2022

    • 著者名/発表者名
      Mizue Kishida, Tatsuya Kubo, Kunio Ohta, Akira Nishisaki
    • 学会等名
      the 14th Annual International Pediatric Simulation Symposia and Workshops
    • 国際学会

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公開日: 2023-12-25  

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