研究課題/領域番号 |
22K10464
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
横山 宏樹 滋賀医科大学, 医学部, 客員講師 (80220573)
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研究分担者 |
荒木 信一 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (80378455)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 糖尿病 / 糖尿病性腎臓病 / 生命予後 / 心血管疾患予後 / 腎機能予後 / コホート研究 |
研究実績の概要 |
JDDM(糖尿病データマネージメント研究会)の第一次コホート(2004 ~2005年設立)と第二次コホート(2013~2014年設立)の2型糖尿病それぞれ3286名と3919名において、心血管疾患発症率と死亡率を算出し、比較解析を行った。生命表法分析の結果、死亡率は両コホート間で差異を認めなかったが、心血管疾患発症率は有意に第二次コホートの方が低かった。Cox比例ハザードモデルにより観察開始時の危険因子として何が有意に心血管疾患発症を予知するかを解析した。高齢、男性、喫煙、HbA1c、降圧剤使用、低HDLコレステロール血症、心血管疾患既往、網膜症、アルブミン尿は、心血管疾患発症へ有意に関与した。しかし、これらの因子で補正しても、第二次コホートは第一次コホートに比べて36%の 有意なリスク低下率を認めた。時代背景が10年異なる2つのコホートの間で、糖尿病治療薬の差異や経過観察中の管理状況の差異が、36%の有意なリスク低下へ寄与している可能性が示唆されている。 上記を踏まえて、新たに同じ組み入れ基準で第三次コホートの設立を開始している。まだ収集数が十分に満たされていないが、上記コホートに匹敵する第三次コホートが設立されれば、2024年コホートとして2型糖尿病の心血管疾患発症率と死亡率を調査する意義は大きいと考えられる。 2023年5月にフランスで開催された第35回European Diabetic Nephropathy Study Group(欧州糖尿病学会の分科会)において、両コホート間での心血管疾患発症率と死亡率の比較と予知因子の解析結果を中心に口演で発表を行った。また、JDDM 72としてDiabetes Research and Clinical Practice誌に論文として発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
第一次コホートと第二次コホートの追跡調査として、2021~2022年におけるイベント発症有無の収集を行い、報告結果の審議を2024年1月にイベント判定委員会にて行った。この審議結果をデータベースへ現在入力中である。 上記両コホートの観察期間中の各因子(血糖コントロール、血圧値、脂質値、腎機能検査値、尿アルブミン値、使用薬剤)の経過値をデータベースから抽出する作業を行い、これらの反復測定値が両コホートで差異を認めるか、心血管疾患発症率へどの程度に影響を及ぼしているか、解析を行っている。 2024年3月10日に開催された第43回糖尿病データマネジメント研究会において、両コホート間での心血管疾患発症率と死亡率の比較と予知因子の解析結果を述べた。さらに第三次コホートの設立へ向けて目標対象例数5,000例の中で3,110例まで取得できている現況を報告した。残り1,100例の取得へ向けて、各施設への依頼を行った。
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今後の研究の推進方策 |
コホート研究登録時データとして既知の動脈硬化性疾患危険因子で補正しても、第二次コホートは第一次コホートに比べて36%のリスク低下率を認めており、時代背景が10年異なる2つのコホートの間で、糖尿病治療薬の差異や経過観察中の管理状況の差異が、36%の有意なリスク低下へ寄与している可能性が示唆されている。これを明白化する目的で、糖尿病治療薬の差異や経過観察中の管理状況の差異を含めて、解析を進めている。 また第三次コホートが設立されれば、コホート研究登録時データの比較を第一次~第三次の間で行う。2004年、2014年、2024年に同じ組み入れ基準で設立された同年代の2型糖尿病の臨床的特徴の差異が明らかになると考えられる。
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次年度使用額が生じた理由 |
第一次コホートと第二次コホートの間で認められる心血管疾患発症率の差異が、何故生じているか、経過観察中の各因子の経過を反復測定値として解析を進めるために、統計学専門施設と共同研究を行う。この複雑な解析のための費用が発生する。また追跡調査の継続のために各施設への協力依頼や報告などの遣り取りに費用がかかる。データベースの構築や消耗品費が発生する。得られた解析結果を論文化し、各学会での発表を進めるために旅費などが発生する。
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