研究課題/領域番号 |
22K10467
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
谷口 晋一 鳥取大学, 医学部, 教授 (30304207)
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研究分担者 |
伊藤 泰信 北陸先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (40369864)
孫 大輔 鳥取大学, 医学部, 准教授 (40637039)
井上 和興 鳥取大学, 医学部, プロジェクト研究員 (60739085)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 総合診療 / 文化人類学 |
研究実績の概要 |
2023年度は、先行研究調査、総合診療専門研修プログラムのエスノグラフィ、総合診療専門研修プログラムでの専攻医/指導医へのインタビューなどを行った。 先行研究調査では、2022年度行った医師養成課程全体での総合診療専門研修の位置づけ、総合診療専門研修プログラムの成り立ちの文脈、医師養成課程・総合診療専門研修の中での文化人類学的素養の教育の変遷・課題に加え、医療の周辺で起こる社会の「専門分化」がどのように捉えられているかを調査した。 総合診療専門研修プログラムのエスノグラフィは通年で継続して実施した。プログラムのエスノグラフィは、On the job training、Off the job training、プログラムの運営会議で実施した。On the job trainingでは専攻医が総合診療専門研修で勤務する医療機関で参与観察を行った。Off the job trainingでは、月1回プログラム所属の専攻医向けの研修会(専攻医は研修に参加者として参加)や専攻医による学生・初期研修医向けの研修会やリクルート活動(専攻医は運営側として参加)で参与観察を行った。 専攻医へのインタビューは「総合診療医としてどのように患者・家族・地域を理解しようとしてきたか」をテーマに実施した。他者理解・異文化理解の学問である文化人類学と、患者の文脈を理解しながら医療を実施する専門家である総合診療専門医の重なり合う部分を明らかにするため、このテーマに設定した。指導医についても、指導医として専攻医が「どのように患者・家族・地域を理解しようとしてきたか」を観察しているかについてインタビューを実施した。 2023年度は、社会の専門分化のなかで「総合診療専門医」がどのように捉えることができるのかを問うことで、「総合診療専門医」に必要な文化人類学的素養が明らかになるのではないか、という洞察が生まれた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
総合診療レジデントへのインタビュー、レジデントデイの参与観察、診療実践の観察などを通じて、専門分化のなかでの総合診療専門医の立ち位置にもとづく総合診療専門医に必要な文化人類学的素養の明確化という課題が抽出された。計画では、この課題解決のための教育方略を経験学習理論や状況学習論を元に検討している途上である。教育方略は,総合診療専門研修の研修医・指導医・文化人類学者が協働して開発をすすめている。研修医への教育応用はまだ計画できていない。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度も引き続き、総合診療専門研修プログラムの教育実践の観察を通じて、研修のあり方の検討および実装を前に進める。また、総合診療専門研修プログラムが実施されているon the job training もしくはoff the job trainingでの文化人類学的素養を身につける教育を実践する。国会議AHFE(2024年7月)に発表を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初2年間においてコロナ禍のために、インタビューや学会発表が制限されていたこと、および研究自体の進捗が遅れていることなどから、研究費の償却がすすんでいない。最終年度にあたり発表と教育方略の成果物作成を含めて研究費償却を進める予定である。
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