研究課題/領域番号 |
22K10487
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
小林 果 三重大学, 医学系研究科, 講師 (70542091)
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研究分担者 |
土生 敏行 武庫川女子大学, 食物栄養科学部, 教授 (70346071)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | RNF213 / 小胞体ストレス / 糖尿病 / もやもや病 |
研究実績の概要 |
小胞体ストレスは、糖尿病をはじめとした公衆衛生上の重要な課題となる種々の疾患に関与する。RNF213遺伝子は様々なストレス負荷環境で、広範な生体・細胞機能に重要な役割を果たす可能性が示されている。我々は以前に小胞体ストレスに関連する糖尿病マウスモデル(Akitaマウス)において、Rnf213ノックアウト(KO)が糖尿病の改善と膵β細胞の保護につながることを証明し、RNF213が小胞体ストレス応答に重要な役割を果たす可能性を示唆している。本研究では、小胞体ストレス負荷細胞モデルを用いて、RNF213抑制および遺伝子変異が小胞体ストレスに与える影響を検討し、新たな小胞体ストレス制御因子としてのRNF213の役割を明らかにする。 本年度は、RNF213抑制による小胞体ストレスへの影響を検討した。HeLa細胞を小胞体ストレス誘導剤で処理したモデルにおいて、RNF213ノックダウンにより小胞体ストレスマーカーの上昇が抑制されることを示した。小胞体ストレスに対する生体応答の一つとして、ミスフォールディングタンパク質の分解を促進する小胞体関連分解(ERAD)がある。RNF213ノックダウンはERADに重要な役割を果たすSEL1Lを増加させることで、小胞体ストレスを軽減することを証明した。SEL1Lの発現上昇はRnf213 KO/Akitaマウスの膵島やRnf213 KOマウス胚性線維芽細胞でも確認された。以上のことから、RNF213抑制はSEL1Lの増加を通じてミスフォールディングタンパク質の分解を促進し、小胞体ストレスを軽減することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
RNF213抑制による小胞体ストレスの抑制およびそのメカニズムを証明し、その成果を論文報告したため。
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今後の研究の推進方策 |
RNF213抑制がSEL1Lの発現上昇につながるパスウェイを明らかにするため、マイクロアレイ解析を行う予定。またRNF213変異が小胞体ストレスに与える影響も検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度に計画していたAkitaマウス由来膵β細胞を用いたRnf213 KO細胞モデルの樹立を試みたが、細胞の性質上モノクローナル単離が非常に困難であることが判明し、樹立を断念した。したがって、上記のモデルを用いた実験を実施せず、使用予定だった予算を次年度に持ち越した。一方で、HeLaやマウス胚性線維芽細胞を用いたモデルでRNF213抑制が小胞体ストレスを軽減することが証明できたので、次年度は該当モデルを用いたより詳細なメカニズム解明に繰り越した予算を使用する。
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