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2022 年度 実施状況報告書

ブテノライドとスルホキシイミン系農薬の性成熟前後の投与は生殖や神経毒はあるのか?

研究課題

研究課題/領域番号 22K10513
研究機関千葉大学

研究代表者

坂部 貢  千葉大学, 予防医学センター, 特任教授 (70162302)

研究分担者 立道 昌幸  東海大学, 医学部, 教授 (00318263)
遠藤 整  東海大学, 医学部, 准教授 (10550551)
清島 大資  東海大学, 医学部, 講師 (80756370)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードフルピラジフロン / スルホキサフロル / 精巣 / 神経 / マウス
研究実績の概要

現在、殺虫剤として世界中で汎用されているネオニコチノイド系農薬(NN)と同様の昆虫(標的害虫)のニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)に強いアゴニスト作用をもつブテノライド(原体名:フルピラジフロン)、スルホキシイミン(原体名:スルホキサフロル)系農薬が近年開発され、普及しつつある。nAChR は神経系、生殖器系、消化器系、免疫系をはじめ多臓器に発現している事から、NNではヒトにおいて散布後に健康被害例が報告され、実験動物においても神経、筋、生殖器に関連する広範な障害が出現する事がわかってきており、EU各国中心に世界中でNNの使用が制限されつつある。NNと同様にスルホキサフロルは標的害虫以外の生物に対して悪影響を与えることが予想されるが、性成熟期前後に焦点をあて、ラットやマウスなどの実験動物で検討した報告はない。そこで申請者らは性成熟後の雄マウスにスルホキサフロルを投与し、精巣や下垂体に与える影響を検討した。第一段階として、国の報告書によるマウスのlow observable adverse effect level (LOAEL)を基準値とし、LOAEL前後の濃度で実験をした。10週齢ICRマウスを用いて、スルホキサフロルを水道水に溶かし自由飲水させる実験群を3群および水道水のみ自由飲水させるコントロールの1群に、合計4群に分け、4週間および8週間後に安楽死させ、精巣を深麻酔下で摘出し、身体的および形態学的に評価した。自由摂取の為、実際の実験群は10, 100, 200mg/kgの3群になった。4週間および8週間後の体重や精巣重量はコントロールと比較し変化しなかった。また、精巣の組織学的観察ではコントロール像と比較し変わらなかった。さらに、精巣のLegdig細胞、Sertoli細胞、生殖細胞、アポトーシス因子、抗酸化酵素因子、酸化物質因子のmRNAおよび下垂体のLHやFSHのmRNAはコントロールと比較し変化しなかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

殺虫剤として世界中で汎用されているネオニコチノイド系農薬と同様の昆虫(標的害虫)のニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)に強いアゴニスト作用をもつスルホキシイミン(原体名:スルホキサフロル)は標的害虫以外の生物に対して悪影響を与えることが予想される。しかしながら、nAChRも発現している精巣に焦点をあてラットやマウスなどの実験動物で検討した報告はない。今年度の結果により、low observable adverse effect level (LOAEL)付近の濃度はマウス精巣や下垂体に対して毒性を示さない可能性が示唆された。スルホキサフロルの生殖毒性に関する重要なデータであり、次年度に繋がる結果である。

今後の研究の推進方策

2023年度はより高濃度のスルホキサフロルを投与して生殖毒性の有無を調査する。具体的には500, 1000mg/kgの2群を増やし、2022年と同様の実験を行う。また、性成熟後マウスの実験結果を踏まえてスルホキサフロルの投与濃度をいくつかの群に分け決定し、性成熟前の雄マウスにスルホキサフロルを投与して生殖毒性の有無と性成熟前後の比較を行いたい。

次年度使用額が生じた理由

研究の進展に伴い、当初予想しなかった新しい結果が得られたことから、その結果を使用し十分な研究成果を得るために、当初の研究計画を変更する必要が生じた。その計画の調整に予想外の日数を要したため、年度内に完了することが困難となった。次年度は新たな結果に含めた年次計画に則り、適正に支出します。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Effects of Dexmedetomidine on the Localization of α2A-Adrenergic and Imidazoline Receptors in Mouse Testis2022

    • 著者名/発表者名
      Nomura Hayato、Terayama Hayato、Kiyoshima Daisuke、Qu Ning、Shirose Kosuke、Tetsu Shuhei、Hayashi Shogo、Sakabe Kou、Suzuki Takeshi
    • 雑誌名

      Applied Sciences

      巻: 12 ページ: 10409~10409

    • DOI

      10.3390/app122010409

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Effect of Neonicotinoid Pesticides on Japanese Water Systems: Review with Focus on Reproductive Toxicity2022

    • 著者名/発表者名
      Terayama Hayato、Sakabe Kou、Kiyoshima Daisuke、Qu Ning、Sato Tsutomu、Suyama Kaori、Hayashi Shogo、Sakurai Kenichi、Todaka Emiko、Mori Chisato
    • 雑誌名

      International Journal of Molecular Sciences

      巻: 23 ページ: 11567~11567

    • DOI

      10.3390/ijms231911567

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Changes in Expression of Specific mRNA Transcripts after Single- or Re-Irradiation in Mouse Testes2022

    • 著者名/発表者名
      Nagahori Kenta、Qu Ning、Kuramasu Miyuki、Ogawa Yuki、Kiyoshima Daisuke、Suyama Kaori、Hayashi Shogo、Sakabe Kou、Yoshimoto Takayuki、Itoh Masahiro
    • 雑誌名

      Genes

      巻: 13 ページ: 151~151

    • DOI

      10.3390/genes13010151

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] A gross anatomical study of the styloid process of the temporal bone in Japanese cadavers2022

    • 著者名/発表者名
      Tanaka S.、Terayama H.、Miyaki Y.、Kiyoshima D.、Qu N.、Umemoto K.、Tanaka O.、Naito M.、Sakabe K.
    • 雑誌名

      Folia Morphologica

      巻: 81 ページ: 493~502

    • DOI

      10.5603/FM.a2021.0019

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Specific acupuncture stimulation of Shenshu(BL23) affects sympathetic nervous activity-associated plasma renin concentration changes2022

    • 著者名/発表者名
      Kanae Umemoto;Tomoya Hayashi;Kaori Fukushige;Shuichi Hirai;Hayato Terayama;Kou Sakabe
    • 雑誌名

      Journal of Traditional Chinese Medicine

      巻: 42 ページ: 250-255

    • DOI

      10.19852/j.cnki.jtcm.2022.02.005

    • 査読あり
  • [学会発表] Effects of dexmedetomidine on the localization of α2A-Adrenergic and imidazoline receptor in mouse testis2022

    • 著者名/発表者名
      Hayato Nomura, Hayato Terayama, Daisuke Kiyoshima, Ning Qu, Kosuke Shirase, Kou Sakabe, Takeshi Suzuki
    • 学会等名
      第29回日本免疫毒性学会学術年会

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公開日: 2023-12-25  

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