研究課題/領域番号 |
22K10523
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研究機関 | 北陸先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
古川 健治 北陸先端科学技術大学院大学, 保健管理センター, 教授 (40324123)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | 認知症 / 機械学習 / 健診データ |
研究実績の概要 |
石川県金沢市の認知症健診データ及び約50万人分の特定健診データを機械学習モデルで解析することにより、日本人の一般住民における認知症発症予測モデルを作成し、認知症発症以前に発症リスクが高い人を見つけ出して個々のリスク因子の寄与度を算出し、認知症の発症予測、発症予防につなげることが本研究の目的である。 石川県金沢市の健診データを用いて研究を行うため、金沢市医師会の倫理審査委員会で研究実施が許可され、2014年から2019年分の石川県金沢市の認知症健診データ、また、同時期の一般健診データが得られた。 これらのデータに対し、データクリーニングのためのプログラムを開発し処理した。 また、認知症健診及び一般健診それぞれのデータのを突合するためのプログラムを開発した上で、実際の健診データの突合を行った。認知症の発症予防につなげるため、これらのデータを用い未来の認知機能低下を予測するモデルの確立を行った。具体的な手法として一般化線形モデルや一般化加法モデルとして、XG Boost、RF、SVR、LR、KNNを用いて、回帰モデルによる経年的な認知症健診データがある対象につき、認知機能を評価するミニメンタルステート検査の経年的な変化を引き起こす因子の解析を行った。70歳時のミニメンタルステート検査がある対象につき、その3年後との点数の変化量を高精度に予測するため、適切な特徴量を選択し、説明性の高いモデルを構築した。元々、本年度は、認知症の発症予防につなげるため、未来の認知機能低下を予測するモデルの確立を行うことを目標としており、回帰モデルによる経年的な認知症健診データがある対象を解析することによりこれが達成された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該研究は、石川県金沢市の認知症健診データ及び約50万人分の特定健診データを機械学習モデルで解析することである。データクリーニングが行われ、認知症健診データと一般健診データを突合して、機械学習で解析できる環境が整ったため、本年度は、予定通り、実際の機械学習による解析を進めた。まず、認知症の発症予防につなげるため、未来の認知機能低下を予測するモデルの確立を行った。具体的な手法として一般化線形モデルや一般化加法モデルとして、XG Boost、RF、SVR、LR、KNNを用いて、回帰モデルによる経年的な認知症健診データがある対象につき、認知機能を評価するミニメンタルステート検査の経年的な変化を引き起こす因子の解析を行った。元々、本年度は、認知症の発症予防につなげるため、未来の認知機能低下を予測するモデルの確立を行うことを目標としていた。実際、回帰モデルによる経年的な認知症健診データがある対象を解析を行い、高精度で予測するモデルを構築することができたため、当初予定していた予定どおりの進捗状況ということができる。
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今後の研究の推進方策 |
石川県金沢市の認知症健診データ及び約50万人分の特定健診データを機械学習モデルで解析することにより、日本人の一般住民における認知症発症予測モデルを作成し、認知症発症以前に発症リスクが高い人を見つけ出して、個々のリスク因子の寄与度を算出し、認知症の発症予測、発症予防につなげることが本研究の目的である。回帰モデルによる、経年的な認知症健診データがある対象につき、認知機能を評価するミニメンタルステート検査の経年的な変化を引き起こす因子の解析を行ったが、ミニメンタルステート検査の変化量をさらに高精度で予測し、説明性の高いモデルを構築するため、さらなる解析をすすめる予定である。また、認知症の未来の発症予測を行うのみならず、認知症患者のスクリーニングを行うための、説明しうる種々の特徴量による現在の認知機能の点数を予測するためのモデルを確立することが次年度の目標である。具体的な手法としては、一般化線形モデルや一般化加法モデルを用いて、分類モデルによる、認知症健診が行われた時点において認知機能が低下しているか、もしくは、低下していないかを予測するモデルの確立を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
石川県金沢市の認知症健診データ及び約50万人分の特定健診データを機械学習モデルで解析することにより、日本人の一般住民における認知症発症予測モデル を作成し、認知症発症以前に発症リスクが高い人を見つけ出して、個々のリスク因子の寄与度を算出し、認知症の発症予測、発症予防につなげることが本研究の目的である。 初年度、機械学習を行うためのデータの準備として、データクリーニング及び健診データの突合が必要であった。これらのデータ準備に際し人件費が発生する予定であったが、コロナ禍で募集がうまくいかず、この問題は、データ準備作業のためのプログラミング開発により解決された。そのため、人件費は発生しなかったが、代わりに、プログラミング開発の参考とするための学会参加等の旅費を要した。また、bigデータを用いての機械学習のための設備を整備する予定であったが、データ準備の段階では、現状の設備で対応可能であった。次年度、解析の状況を踏まえて、機械学習のための設備を整備する予定である。
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