研究課題/領域番号 |
22K10533
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研究機関 | 奥羽大学 |
研究代表者 |
鈴木 史彦 奥羽大学, 歯学部, 教授 (90275628)
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研究分担者 |
辻口 博聖 金沢大学, 医学系, 特任助教 (00723090)
中村 裕之 金沢大学, 医学系, 教授 (30231476)
岡本 成史 大阪大学, 大学院医学系研究科, 教授 (50311759)
原 章規 金沢大学, 医学系, 准教授 (70507045)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | オーラルフレイル / 腸内細菌 / 加齢関連疾患 / 体重調整下腿周囲長 / 動物性タンパク質 / 栄養素摂取 |
研究実績の概要 |
本研究は、オーラルフレイルと腸内細菌叢の変化が、全身状態とどのように関係するのかを解明することにより、加齢関連疾患の予防法を開発することを目指すものである。 2023年度は、栄養素摂取、体重で調整したふくらはぎ周囲長(CC/kg)、およびオーラルフレイルとの関係を明らかにする目的で、石川県志賀町に在住している50歳以上の中高年のうち、簡易型自記式食事歴法質問票(BDHQ)を用いた栄養素調査、ふくらはぎ周囲長と体重の測定、およびオーラルフレイルに関する評価について同意の得られた194名(男性102名、女性94名)を対象として、横断的な疫学調査を実施した。 BDHQは密度法によりタンパク質、カルシウム、およびビタミンDの摂取量を評価した。オーラルフレイルは基本チェックリストの口腔に関する質問項目、1日の歯磨き回数、および歯数をスコア化して7点満点中3点以上をオーラルフレイルとした。CC/kgは対象者の中央値から、低CC/kg群と高CC/kg群の二群に分類した。また、オーラルフレイル群と非オーラルフレイル群の二群を下位分類とした二元配置共分散分析にて栄養素摂取との関係を解析したところ、低CC/kg群においては、オーラルフレイル群の動物性タンパク質摂取量は非オーラルフレイル群よりも有意に低値であったが、高CC/kg群においては、オーラルフレイルの有無で動物性タンパク質摂取量に差はみられないことを明らかにした。また、オーラルフレイルの有無で層別化し、CC/kgを目的変数とした重回帰分析によっても、動物性タンパク質が有意な説明変数となることを明らかにした。すなわち、CC/kgの低下を伴うオーラルフレイルにおいては、全身のフレイル予防のために、積極的な動物性タンパク質摂取が有効である可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2023年は新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、参加者の検体を採取する検診の実施が中止となった。また、2024年1月に予定していた検診は、令和6年能登半島地震により中止となった。そのため、腸内細菌の採取が不可能であったことから、既存のデータを用いて、本課題と関連する疫学研究を実施した。これにより、オーラルフレイルと全身状態との解明を進めていった。
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今後の研究の推進方策 |
2024年7月に、検診を実施する予定である。今後の予定としては、オーラルフレイルと腸内細菌叢の組合せが、どのような加齢関連疾患と関係するのかを解明していく。腸内細菌叢は、加齢依存的にRuminococcus属やClostribium属が増加し、Akkermansia属やAlistipes属が減少することが知られていることから、これらの細菌叢とオーラルフレイルの組合せが、腎機能、血圧、血糖、うつ状態等との関係において、交互作用(相乗効果)が見られるのかを疫学的に解明していく。志賀町スタディでは縦断的にデータを蓄積していることから、オーラルフレイルと特定の腸内細菌叢の組合せが、どのような加齢関連疾患と関連しているのかを縦断的に解析することによって、加齢関連疾患の予防法の開発を目指していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
2023年と2024年1月に実施予定であった検診が新型コロナウイルス感染症予防拡大および令和6年能登半島地震の影響で延期となったことから、当該助成金が生じた。 2024年7月に検診を実施し、成果を報告する計画となっている。
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