研究課題/領域番号 |
22K10535
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
明石 敏昭 順天堂大学, 医学部, 准教授 (40623492)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 自然言語処理 / データベース / サーベイランス |
研究実績の概要 |
医療情報を全国10施設の大学病院から一元的に画像および画像診断レポートを収集している日本医用画像データベース(Japan-Medical Image Database; JMID)には100万件を超える検査が収集されているが、2023年4月にシステムをオンプレミスサーバーからクラウド化した。このデータ利用環境の向上によって、大量のデータを容易に検索し、ダウンロードすることを可能にした。 当初は対象とする疾患名もしくは画像所見の有無を判定するBERTを用いた事実性判定モデルを作成することを目標としていた。しかし、特定の言葉ではなく、任意の言葉の事実性を判定するモデルの方が有用性は高いことから、後者を作成した。これにより任意の言葉の事実性を検索することが可能となった。 さらに、このモデルの有用性を検証するためのデータとして、ある一日の画像診断レポートから「COVID-19肺炎疑い」症例を検索し、臨床的に「肺炎」と「非肺炎」の画像とレポートのデータセット(90件、有病率0.03)を作成した。これらを解析し、レポートの自然言語処理によるサーベイランスの有用性を検討していく予定である。このデータセットでは既にCT画像によるCOVID-19肺炎典型度を判定するAIによる精度も判明している(RSNA分類を基準として、感度は0.65、特異度は0.74)ので、レポートの自然言語解析とAIによる画像解析による精度の比較を行うことも可能になっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画を変更して、特定の疾患ではなく、任意の言葉の事実性を判定する自然言語処理モデルを作成した。これにより任意の言葉の事実性を検索することが可能となった。 さらに、このモデルの有用性を検証するためのデータとして、ある一日の画像診断レポートから臨床的に「COVID-19肺炎」と「非COVID-19肺炎」の画像とレポートのデータセット(90件、有病率0.03)を作成した。引き続き計画通りに、このデータセットを用いて言語処理によるサーベイランスの有用性を検討する。
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今後の研究の推進方策 |
レポートの自然言語処理によるサーベイランスの有用性を検討するにあたって、作成したデータセットを用いて精度を算出する。また、AIによる画像解析による精度と比較を行う。 課題として、データベースのクラウド化を行ったことで、今後はデータの出力形式が異なり、これまで利用していたシステムが使用できなくなった。今後は適切に対応しなければならない。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19肺炎の流行による学会参加が容易ではなかったため。今後は自然言語解析に利用するPCやWebのサービス利用料、学会参加費、文献や書籍、PC周辺機器に利用する予定である。
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