研究課題/領域番号 |
22K10537
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
野原 理子 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (30266811)
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研究分担者 |
吉川 悦子 日本赤十字看護大学, 看護学部, 准教授 (00435554)
水野 基樹 順天堂大学, スポーツ健康科学部, 教授 (20360117)
水野 有希 日本女子体育大学, 体育学部, 准教授 (20450231)
新井 隆男 東京医科大学, 医学部, 兼任准教授 (20384943)
櫻谷 あすか 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 特任講師 (70845461)
三木 貴子 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (20849070)
永峰 大輝 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (90973892)
小池 美菜子 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (30339030)
山口 慎史 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (60847630)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 医師の働き方 / 宿日直 / 医療機関 / 勤務環境 / 支援ツール |
研究実績の概要 |
2023年度は2022年度に引き続いて「夜間勤務中の医師の睡眠の実態調査」の被検者の募集を行った。2023年7月末までに目標としていた被検者数にほぼ達することができた。登録後、被検者には、夜間勤務6回分について、ウェアラブルディバイスを装着していただき、睡眠状態(就寝時刻、起床時刻、睡眠時間等)を測定していただいた。加えて、夜勤前、夜勤中、夜勤後に、自覚症状(疲労の程度)に関する自記式質問票にも記入していただいた。6回の夜間勤務時の測定ののちに、ウェアラブルディバイスのデータおよび質問票を回収した。2023年度末現在の回収率は7割程度となっている。 勤務環境改善に関するツール開発については、研究分担者とオンライン会議などにより検討を行った。会議の他、関連の研究会や学会等での情報収集も行った。その結果、医師向けの勤務環境改善に関する学修ツールについては、2023年度中に厚生労働省が動画などを作成公開し、現時点で必要な内容は提供されていることが研究班全体として確認された。そのため学修ツール作成に関する検討は中断した。一方、勤務環境改善の支援ツールに関しては、病院自体が活用できるもの、医療勤務環境改善支援センターの支援員が活用できるものなど様々なニーズが考えられた。病院を支援する医療勤務環境改善支援センターは全国に設置されているが、センターの支援能力にばらつきがあることや、支援員の専門性の向上に課題があることなどが厚生労働省の調査などで指摘されている。そのため、ツール活用場面の設定や、既存のマネジメントシステムの活用可能性など検討項目が多岐にわたった。そのため2023年度中には具体的な支援ツールを作成することができず、現在も検討を継続している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年に引き続き多くの医療機関では、2024年4月からの医師の勤務時間の上限規制に向けた様々な対応を迫られており、医療勤務環境改善支援センターにおいても多忙を極めていた。特に2023年度は勤務時間の上限規制に対応するため、多くの医療機関が「宿日直許可」の取得を申請した。医療勤務環境改善支援センターでは、特例B水準・特例連携B水準・特例C水準の申請支援のみでなく、宿日直許可申請への支援を担うこととなった。 そのため、支援ツールづくりなどへのご協力を得ることが難しかった。さらに、厚生労働省、各都道府県および文部科学省などが医療機関や大学病院に対して実施した医師の働き方に関する様々な実態調査結果を確認したり、2024年4月に向け、厚生労働省から順次出される通達なども確認しながらツール作成を検討していたため、時間を要した。 また、昨年度末より募集を開始した夜間勤務中の睡眠調査の被検者については、7月末までの募集となったため、その後の測定およびデータ収集等が後ろ倒しになった。
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今後の研究の推進方策 |
「医師向けの勤務環境改善に関する学修ツールと支援ツールの開発」については、2022年度から実装可能なものを作成すべく検討を重ねる中で、具体的なツール作成が遅れていた。そこで次年度に向け、社会保険労務士や医業経営コンサルタントの方々との意見交換の機会なども設定し、最終年度中に支援ツールの開発を行えるよう計画を変更している。 「夜間勤務中の医師の睡眠の実態調査」については、データ解析を進め、次年度には学会発表を行う予定である。さらに論文執筆についても分担研究者と協議している。 また、全体的な遅れを取り戻せるよう、次年度は研究補助員1名を定期的に雇用し、計画的に作業が進められるようにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
2023年度も2022年度と同様に研究補助として非常勤職員を雇用する予定であったが、被検者の募集とそれに伴うデータ収集等に時間を要したため、年度内に研究補助員を雇用して実施すべき業務が発生しなかった。そのため研究補助者雇用のための人件費の使用がなかった。また、その他の費用として使用予定であった、ツールの開発のための費用については、ツール作成の委託に至らなかったため使用がなかった。次年度は最終年度となるため、データ解析や勤務環境改善支援ツールの作成など、遅れているものを早急に進めるため、研究補助員の勤務日数を当初の想定よりも多くすることを予定しているため、次年度使用額は研究補助員の雇用経費に充てる予定である。
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