研究課題
睡眠障害および糖尿病は、糖尿病血管合併症の発症リスクとなる共通の病態基盤をもつ。睡眠障害と糖尿病は互いに関与することで、糖尿病の病態悪化のみならず、糖尿病合併症の発症および進展リスクを高める可能性があるが、その相互関連についてはあまり知られていない。本研究課題は、2型糖尿病患者における心血管疾患発症予防の観点から、血糖変動や血糖管理の質を含む糖代謝の評価に加えて、睡眠障害を客観的かつ定量的に評価し、大小血管障害との相互関連について明らかにするものである。本研究課題では所属講座で展開しているコホート研究(HDHCC研究およびHSCAA研究)を基盤として解析を進めている。HDHCC研究については、登録者数530名と登録症例数を増やしており、2型糖尿病合併症や臨床背景についても調査を行っている。さらに、460名から持続グルコースモニターを用いたグルコースデータを収集できており、260名においてアクティグラフによる客観的な睡眠時間および睡眠の質についての評価が実施できている。令和5年度については、2型糖尿病患者の持続グルコースモニターから算出した血糖管理指標と糖尿病合併症との関連について検討を進めた。そして、持続グルコースモニター由来の血糖管理指標と糖尿病腎症、大脳白質病変、脳萎縮や生活の質などとの関連について明らかにし、学会発表および論文投稿を行っている。現時点においても、本研究課題について明らかにするために症例登録、および追跡調査を続けている。
2: おおむね順調に進展している
HDHCCコホート研究は2024年1月末時点で、登録者数530名と登録症例数を増やしており、そのうち、460名の症例において持続グルコースモニターからグルコースデータを得られており、260名の症例においてアクティグラフによる睡眠の量・質の評価ができている。そして、糖尿病患者における、持続グルコースモニターから得られた血糖管理指標と脳小血管病の一つである大脳白質病変との関連、さらに血糖管理指標と糖尿病腎症との関連などについて明らかにし、日本糖尿病学会および関連学会で学会発表を行ってきた。以上からも本研究は順調に進展していると考えられる。
HDHCC研究は2018年5月から登録を開始しているが、現時点においても症例の登録のみならず、追跡調査も続けている。現時点までにおいて、血糖管理と糖尿病血管合併症との関連、睡眠障害と血糖管理との関連について横断的な調査を行ってきたが、今後も相互関連について縦断的な解析が進められるようデータの収集および 解析を進めていく。また、2023年度に学会報告を行ってきた内容についても論文投稿を進めていく予定である。
すべて 2024 2023
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (19件) (うち国際学会 3件、 招待講演 2件)
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